能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

花筐

御礼 花筐

昨日は雨の中、若竹能にご来場賜りまして誠に有難うございました。
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私がシテを勤めました花筐も無事に終わりました。
そんなに長い時間の曲ではないのですが、各段各段の積み重ねで、中身の濃い大曲でした。

昨日は、終演後社中のお弟子様方が一席設けて下さいまして三十人余りの大宴会となりました。
そこで花筐に因んで可愛らしいお花をいただきました。あまり似合わないけど(笑)一応アップしておきます。
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誠にありがとうございました。

昨日は鞍馬天狗の花見稚児役の子達がいましたので、楽屋もお雛様のような可愛い子供達で華やぎました。今の子供達って、本当にお行儀が良くて賢いので、実にスムーズに装束を着て舞台に出て行きました。
いやー本当に可愛いくて賢い。
皆立派に勤めて春の華やぎをもたらしてくれました。

花筐の子方を勤めてくれた彼は、もう今年中学生との事。小さな時から子方をしていた彼が、凛々しい少年になって立派な帝を勤めてくれました。こちらも感謝でした。

若竹能は、次回は夏。7月28日一時開演矢来能楽堂です。朝長と井筒という、大曲二番です。
中所師と佐久間師が勤めます。
私は朝長の地謡と井筒の重後見の二番を仰せつかっております。
大変内容の濃い1日になりそうですね。心して準備したいと思います。
すでにお席が埋まってきているようなので、どうぞお早めに九皐会事務所にお申し込み下さい。
宜しくお願い致します。

この度は誠にありがとうございました。

追記
渡辺カメラマンからも写真いただいてので一枚アップしますね。
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花筐 2

いよいよ花筐も申し合わせ(リハーサル)も済みまして面、装束なども整いました。

先日の味真野の記述に追記して、もう一言、この曲に登場する継体天皇について触れておこうと思います。
皆様の方がよくご存知かと思いますが、
この曲に登場する継体天皇は、今だに謎とされる部分が多く、なにせ千五百年も前の大王の話なので、文献も少なく古事記日本書紀の記述も、どこまでが史実なのか、作られた歴史なのかがよくわからない謎の大王と言われる方です。

武烈天皇が突然逝去し、その武烈天皇に後継者がいなかった為に担ぎ出されたということになっていますが、何故、このひとだったのか。

応神天皇から既に五代も下った孫であり、都から離れた越前にいた皇子が歴史の表舞台になぜ躍り出ることが出来たのか。そもそもそれは本当なのか。古代歴史ミステリーの一つです。

日本書紀によれば武烈帝の後継者に引っ張られた時は、既に57歳で、先王のお姉さんを皇后にして王位を継ぎます。
皇后のほか8人の妃がいたとされます。

これらの妃は皆、機内、北陸に広がる王家に繋がる一族の娘達でした。

それらの勢力の後ろ盾があって都に進出したと考えられています。
また、継体天皇が曲中にも出てくる玉穂の都に入るのに二十年かかったとされ、空白の二十年があります。すぐ大和に入らなかったのは、それだけ大和に抵抗勢力があったからなのか、そもそもそれは本当なのか。多くの謎が残されています。

また年齢や記述が何処まで本当であったか、後に都合よく史実を書き換えられたとも言われています。
そうした古代王家をめぐる勢力争いと、様々な思惑の中で生まれた大王なのですね。

(能では、子方が貴人の役を勤めますので、今回はとても若い継体天皇です。)

味真野の資料館に入った時に花筐の照日の前のモデルに関して、息長真手王の娘、麻績娘子が味真野の地に関わりがあり、この姫ではないかと掲示には書いてありました。

後に伊勢斎宮となる皇女を生んでいます。
息長一族は、神功皇后を輩出した古い一族です。

しかし、観世流には安閑留という小書きがありまして、これがもともとの古い形であったらしいと研究者が書かれてますね。

そうなると安閑天皇を産んだ尾張氏の姫がモデルかというと、継体即位前には既に子供がいたようですし、玉穂の都に行くのに20年もかかったの?というと、どうも作品と色々辻褄合わないね。というわけで、やはりこの照日の前というキャラクターは、創作された女性であり、この作品はあくまで、古い伝承にヒントを得て脚色した創作的な作品だと言われているわけです。

また、何故そうした作品を世阿弥が作ったかというと、時の権力者の交代劇があり、それに合わせたからかでないか?など研究者の方が様々な見解を示しています。

いくつか改作の跡が見られるところもあり、その分、地謡部分も変化に富み楽曲として難易度の高い演目とされております。

能の花筐という曲は、だだのラブロンスではないと思ってみると、また違った見方ができるかも知れませんが、王位をめぐる争いの中に突然巻き込まれた皇子を追って行く恋人という見方も私は好きです。

観阿弥が作ったものを後に導入したと言われる李夫人の曲舞の下りは、切々と男女の愛情の深さを訴えかけますし、古代の歴史伝承を脚色して世阿弥が作ったといわれる作品なので、思い思いに楽しんで観ていただけたらと思います。

長い一言になりました。
では、どうぞよろしくお願い致します。

当日はひな祭りですね。
舞台上で、雛人形の能楽五人囃子の元となるお囃子や地謡、またお雛様達をお楽しみいただけたらと思います。

玉の輿  恋のパワースポット 味真野

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三月三日の九皐会若竹能が近づきました。
詳細はこちら→九皐会home page

昨年立ち寄った福井県の味真野神社と公園の写真が出てきたのでUPします。私が行った時は、神社は改修工事中でした。

主人公は、皇子様の恋人、照日の前。
皇子は、この地で男大迹皇子として暮らしていて、ある日突然、次期天皇の後継指名されて迎えに連れられてこの地を離れて継体天皇になる。

この地で皇子の恋人だった照日の前という女は、突然の恋人との別れを悲しむが、やがて花筐と恋文だけを残して去った皇子を追って都に上る。
そして色々あって(地謡の聴かせどころ、シテの舞どころがドーンとあって))
やがて玉穂の都で再会した二人は、再び結ばれるというハッピーエンドの物語。

押しかけ女房的玉の輿シンデレラストーリーといえなくもない話で、味真野の地元の公園には二人の仲睦まじい銅像があり、花筐の照日の前の玉の輿に引っ掛けて、公園はハートマークの花畑があちこちにあって恋人達の撮影スポットになっていた。
恋のパワースポットだそうだ。
以前行った時は長閑な公園だったので、その変貌ぶりに驚いた。

照日の前は、モデルはいるのだろうけど、能の作り出した特異なキャラクターで、その性格付けも「狂女」というカテゴリーに入る。
現代的な狂っているという感覚だと違和感があり、一途な女とか、思いつめた女といった方がしっくりくると思う。
しかも彼女は、歌って舞える芸達者な女なのだ。

上村松園画伯の描いた花筐の女は、かなり気が触れた感じなのだけど、私の思っている照日の前とは、少し違う。

狂女というキャラクターは、ほかの女性主人公の演目よりも感情が露わで、起伏も激しい。
三番目の幽玄な曲とは違う構成と演出で、変化があるので面白い。
しかも、この曲の照日の前は、やがて妃になるような身分の高さと位があり、ほかの狂女物とは一味違う。

と、あまりハードルはあげなくないのだけど、演じる方としてもとても難しい演目です。

皆様にとって、10人10通りに映る照日の前になれば良いなと思います。


そんなわけで、今回の若竹能は、狂女物というジャンルながらシンデレラストーリーの花筐と、鞍馬山の天狗に出会って歴史の表舞台に躍り出た源義経という、縁起のいい能が二番です。(鞍馬天狗のシテは、天狗です)
あと、今回は、子方の子供達が大活躍します。
二曲で7名出演!楽しみですね。

宜しければ是非ご覧下さい。
チケットなどは九皐会に直接お問い合わせくださいませ。

では、どうぞ宜しくお願い致します。



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