能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

ミューズワークショップと能公演

筋肉痛

木曜日の所沢ワークショップで張り切りすぎたか、昨日の仕事がハードだったのか、朝方はまさかの筋肉痛に驚きました。
10年ワークショップやって、今年が一番応えました。
昨年は感じなかった二日目の筋肉痛に、年のせいとは言いたくないが、朝から今更のストレッチでようやく体が少し戻ったかな。
年を取ると二日目三日目に痛くなるというが、これは迷信らしく、「 鈍った筋肉と低負荷の運動」をすると筋肉痛が遅れてくるのだそうだ。

「 鈍った筋肉」だって(笑)

年を取ると無意識に負荷を加減するので、低負荷になるのだとか。
あとは個人差があるけど、加齢による筋肉量の低下。
やっぱり筋肉増やさなくてはね。

人が何故筋肉痛になるか、そのメカニズムは、実のところまだちゃんとわかねないらしい。
昔は痛みの原因は乳酸が溜るからだ。なんてよく聞いたけど、今の研究ではそれも違うとか。
もちろん乳酸飲料も関係なし。

原因がわかんないのでは、治し方もわからないよねえ。
というわけで、古今東西様々な対処療法が存在するわけね。

わたしの場合は、軽いストレッチで結構効果ありでした。

一見優雅に見える舞の動きも、実は全身の筋肉をものすごく使っているのです。
構えは、スクワットや空気椅子のような下半身の筋肉に負荷がかかり、腰から上は、腰を反り上体伸ばし腕を支えるストレッチのような筋肉の使い方をする。
すり足は両足首の腱を伸び縮みさせながら、首をまっすぐに据えて体を揺れないようにストレッチを繰り返して歩行する運動だし
片腕の重さは5kg程度というから、両腕を広げる動作を一時間もすればそれなりの運動量である。

これをゆっくりと延々とやるので、深層筋とか体幹を鍛えるのに能がいい!なんて時折新聞記事になるわけです。
美的な問題や間や呼吸やら内的なその他のことはさておき、こと身体運動に関しては「舞は筋肉だ!」というのは間違いない。

初回ワークショップの参加者も筋肉痛になった人は結構いると思います。
おそらく能の舞の稽古でまさか筋肉痛になろうとは想定していなかったろうから(笑)
長い年月をかける通常の稽古事では、徐々に身体を作るのでそうならないけど、ここはオリジナルメソッドで行う短期ワークショップだからね。
わずか2カ月で舞を舞う身体に多少なりとも肉体改造を施すわけです。
今シーズンは、10代から70代まで40名程が幅広く参加していて、若い人が多いので運動量が上がったかなあ。
私は一日夜までずっと指導するから筋肉痛も仕方なしです。

私の聞きかじりでは、筋肉痛に対して、強く揉む、叩くは、あまりやらない方がいいそうです。
ミクロサイズで筋肉繊維を傷めるのだとか。
ゆるい負荷をかけないストレッチと皮膚を引っ張って血流を促す程度がお勧め。
あとはタンパク質 ビタミンBを含んだ美味いもの食べてお風呂入ってぐっすり寝る(笑) いや、これがホント一番いいらしい。
寝てる間にホルモンが分泌されて修復するのですと。果報は寝て待て。

ワークショップでは、私より年齢が上の方もいるので
次回からストレッチタイムも積極的に取り入れていきますね。
なお、初回同様レクチャータイムをお楽しみに。
次回のサプライズレクチャーは、必見なので絶対休んではダメですよ!
(参加者の何人がこのBlogを見てくれているかわからないけど叫んでみる)

明日は神楽坂矢来能楽堂の定期公演です。
2時間近い大曲 采女の後見と仕舞の地謡勤めます。
本日はお陰様で休養充分。
3日目の筋肉痛がないことを祈りつつ。














触れてみよう能の世界

8月25日に迫った所沢航空公園ミューズ主催の触れてみよう能の世界image

リハーサルも無事に終了し後は当日を待つばかり。
第二部でご覧いただく能土蜘蛛の装束も整い、今年は舞台も音楽ホールに化粧をして能舞台仕様になりました。

一部ワークショップ参加者による舞披露も華やかな群舞になりそうです。

能楽講座として始まったこの催しも、年々形を整えた能公演が出来るようななりましたが、能楽堂とはまた一味違った気軽に見れる催しですから、是非普段着で観に来て下さい。
お待ちしております、

夏の工作? 土蜘蛛塚製作

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今週の舞台に向けて子供ミューズワークショップでは子供達に様々なお話や体験を心掛けていますが、今日の午後は高校生達と能公演に使う土蜘蛛の塚の製作。
能の作り物は竹とさらしと紙などを使いますが、全て手作りで一回毎に作り直すと聞いて驚いていました。
基本的な事を抑えればあとはセンスがものをいいます。丁寧で綺麗な仕事が求められ、また巣を作るには美意識や感性が問われます。
昨日一度作りましたが出来が悪いのでやり直し、今日再び三時間以上かかかって出来ました。

「ここまで作ると自分達で破りたいです」との本人達の感想。
彼らは土蜘蛛の仕舞の経験者だから、やりたいのはなおさらでしょうね。
「自分達で作ったんだから破ってもう一度作り直してもいいよ」というと、
「これで本番に使ってもらえるなら先生使って下さい」との嬉しい言葉。
充分公演に使える作品になりましたので、再調整して当日使用する予定です。
それにしても彼らが並ぶと塚が小さい(笑)
当日乞うご期待です。

小学生の頃から知っている彼らが、未来の夢を互いに語り合うまでに成長してきたのを身近に聞けて本当に嬉しい。
小学生達も続いてくれるといいなあ。
若者達よ大志を抱け!

今月25日の触れてみよう能の世界では、第一部は恒例のアマチュアの仕舞体験発表を組み込んでいます。
小学三年生から大人達までの相舞の仕舞をご覧いただきながら、能の舞を身近に感じていただけたらと思います。
そして、二部は能楽囃子方の楽器解説と面白い体験。
最後に能「土蜘蛛」の上演です。
能楽初心者にお勧めです。
詳しくは所沢ミューズホームページへ。

えーいっ今年は奮発してやるぜい!

あっという間に所沢ミューズワークも最終週に突入。今日から子供ワークショップがはじまりました。今年は小学生と高校生たち。
初参加の子供達は緊張しながらも真剣に二時間レクチャーをまじえてびっしり稽古しました。
今年も私は夏休みらしい休みもなく何処にも旅行にはいかない夏でしたな。
ま、忙しいのはいいこったということで。
はや週末はキューブホールでの能「土蜘蛛」
今年は巣玉も大きい蜘蛛の巣を投げまくりましょうぞ。
能にもこんな演出のものもあるのかと楽しんでいただけたらと思います。それが能を見る入り口になってくれたら、それはそれで嬉しい
カメラ用の防湿ケースに春から出番を待っていた巣玉を確認。装束もどうしようかと考えている今が一番楽しいですね。


能「土蜘蛛」の魅力

さて九皐会定期公演も終わったので、8/25日に所沢ミューズで行われる「触れてみよう能の世界」で上演する土蜘蛛について書いてみよう。

ツチグモtext2

写真は、以前行われた時のもので、今とは劇場の舞台も様子が少し違うがイメージはつかめると思うのでupします。
今回は好評につき再演です。

土蜘蛛の魅力は、なんと言ってもその物語の展開の分かり易さだろう。
いわゆる能の構成としてよくある前半と後半に物語が別れる複式夢幻能と呼ばれる能は、前半は今は亡き主人公の亡霊が別の何物かに化身して登場し、旅の人と出会い、さも生きている人の如く会話し、今は亡き主人公(実は自分の事)の物語を語る。そして、あまりに詳しい描写ぶりに旅人に訝しがられると、実は自分はその者の化身であると正体を匂わせて消える。
後半には、その亡き主人公が、生きていた頃の艶やかな姿で登場して、ありし日の生き生きとした姿を見せ舞を舞う。
やがて明け方になると夢幻の如く消え失せるというものが代表的な構成かと思う。
未来から過去の物語を描くという手法が多く、しかも主人公はすでにこの世にいない人間である。

現代の芝居やドラマの時間進行と違った展開なので、慣れないと物語の流れがわかりにくいのだ。

ところがこの土蜘蛛は、登場人物は皆生きている人で、物語の進行も普通の時間軸に沿って進む。
しかも口語の会話のセリフが多いので、古語には違いないが、意味が聞き取り易く筋が大変わかりやすい。
現代劇に近い感覚で舞台を楽しむことが出来る。
小中学生に始めて見せる能にも選ばれるのは、この辺りのことがある。


では筋を簡単におってみよう。

最初に源頼光が登場し寝所に見立てた台にくつろぎ、袖に衣をかけられ病床に伏す様子を見せる。
出囃子が鳴り、侍女の胡蝶が典医の薬を持って見舞いに来るが、頼光は、日に日に弱りこのままでは寿命が尽きそうだ弱音を吐く。
それを胡蝶が看病する場面が描かれる(舞台上では、頼光に寄り添ったりせず、地謡が様子を語り歌い)やがて胡蝶は退出し時間が経過する。

一人病に伏す頼光の館に不審者がやってくる。
この悪役であり敵役が、この曲の主役たるシテの土蜘蛛が人間の僧侶に化けた姿だ。この曲では素顔で演じる。

「いかに頼光!おん心地はなにとござそうろうぞ」と呼びかける。

頼光は、夜更けに現れた不審な僧侶に問いただすが、怪僧は、薄ら笑いを浮かべて近づいくる(演技としては笑わないけど、そんな心持ち)
やがて突然蜘蛛の千筋の糸を投げかけ攻撃してくる。
このところの頼光の謎の病気もすべて、この土蜘蛛の成せる厄であったのだ。
頼光は枕元に置いてあった刀名刀「膝丸」で応戦し、怪僧にひと太刀浴びせると、怪僧は血を吹き出しながら消え失せる。(舞台では血は出ない)

館の異変に気づいた従者「ひとり武者」が、駆けつけると既にあやかしの姿はなく、血の痕だけが寝所から館の外へと続いていた。

頼光は、たった今の出来事を語って聞かせると、一人武者は血痕を追って追撃に立ち上がる。

かくして追撃隊がやってきたのは、土蜘蛛の住む塚であった。
そして、いよいよ追撃隊と本性を現した土蜘蛛の決戦が始まる。

この最後の戦闘場面は、力強い地謡と囃子の掛け声で奏され、舞台上が白くなる程の蜘蛛の糸を投げるので、大変見応えがある。
勧善懲悪のわかりやすいストーリーとテンポの良い舞台進行。

私が学生の頃、この能をワクワクしながら観たのをよく覚えている。
8月25日に所沢ミューズで行われる「触れてみよう能の世界」では、この土蜘蛛を上演する。
頼光は、兄遠藤和久が演じ、私が土蜘蛛を演じる。
是非見に来てください。

お申し込みは所沢MUSEへ







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ミューズワーク子供参加者募集中。

阿漕が終わり今週末は、若竹能があります・
今回私は、采女のクセの仕舞と、三輪の地頭を勤めさせていただきます。
頑張らねば。

さてミューズワークも第3週に入り、今年は参加者の意欲が例年以上で、開始30分以上まえからスタジオ入りして、皆様ウォーミングアップに余念がなく、まだ3週目にして課題曲を習得。
異例のスピードですね。
このままいけば驚くほどの成果を見せる事でしょう。
練習に余裕が出ると、能の話が色々出来るので、今年はさらに充実したワークショップになりますね。

子供たちの八月のワークの応募がまだまだ劇場募集中ですので、是非トライさせて下さい。
能楽ワークの体験を中学、高校受験の時に、内申の特技欄に書けると、合格率が上がる??とか。
それって、本当なのか???
本当なら、そういう学校いいなあ。

でも、入った子が云うのだからあながち事実無根とはいえないかも(笑)。
まあ、それで合格したわけでもないでしょうが。経験は財産であることは間違いない。
どんな理由で応募するにせよ、いずれにしろこれからの日本を背負う子供達には、是非一回は参加してもらいたいですね。
よろしくお願いします。

所沢ミューズワーク 八年皆勤賞の二人

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小学三年生から毎年ミューズワークに参加している少年達も高校生になった。思えば彼らが中学生になる時、中学の部がつくられ、高校になると別枠がつくられた。
最初に沢山いた同期は気がつけば二人に。 
他の子達も是非顔を見せに来てほしいなあ。
それにしても子供成長は早く、もう私よりずっと背が高い(笑)
久しぶりの再会に喜び、小手調べに摺り足を一時間程汗を流してもらった。
バランスが戻り勘を取り戻すと後は早い。
今年も楽しみです。
ミューズでは小中学生の部を募集中です。参加お待ちしています。
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