能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

土蜘蛛

触れてみよう能の世界

8月25日に迫った所沢航空公園ミューズ主催の触れてみよう能の世界image

リハーサルも無事に終了し後は当日を待つばかり。
第二部でご覧いただく能土蜘蛛の装束も整い、今年は舞台も音楽ホールに化粧をして能舞台仕様になりました。

一部ワークショップ参加者による舞披露も華やかな群舞になりそうです。

能楽講座として始まったこの催しも、年々形を整えた能公演が出来るようななりましたが、能楽堂とはまた一味違った気軽に見れる催しですから、是非普段着で観に来て下さい。
お待ちしております、

夏の工作? 土蜘蛛塚製作

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今週の舞台に向けて子供ミューズワークショップでは子供達に様々なお話や体験を心掛けていますが、今日の午後は高校生達と能公演に使う土蜘蛛の塚の製作。
能の作り物は竹とさらしと紙などを使いますが、全て手作りで一回毎に作り直すと聞いて驚いていました。
基本的な事を抑えればあとはセンスがものをいいます。丁寧で綺麗な仕事が求められ、また巣を作るには美意識や感性が問われます。
昨日一度作りましたが出来が悪いのでやり直し、今日再び三時間以上かかかって出来ました。

「ここまで作ると自分達で破りたいです」との本人達の感想。
彼らは土蜘蛛の仕舞の経験者だから、やりたいのはなおさらでしょうね。
「自分達で作ったんだから破ってもう一度作り直してもいいよ」というと、
「これで本番に使ってもらえるなら先生使って下さい」との嬉しい言葉。
充分公演に使える作品になりましたので、再調整して当日使用する予定です。
それにしても彼らが並ぶと塚が小さい(笑)
当日乞うご期待です。

小学生の頃から知っている彼らが、未来の夢を互いに語り合うまでに成長してきたのを身近に聞けて本当に嬉しい。
小学生達も続いてくれるといいなあ。
若者達よ大志を抱け!

今月25日の触れてみよう能の世界では、第一部は恒例のアマチュアの仕舞体験発表を組み込んでいます。
小学三年生から大人達までの相舞の仕舞をご覧いただきながら、能の舞を身近に感じていただけたらと思います。
そして、二部は能楽囃子方の楽器解説と面白い体験。
最後に能「土蜘蛛」の上演です。
能楽初心者にお勧めです。
詳しくは所沢ミューズホームページへ。

えーいっ今年は奮発してやるぜい!

あっという間に所沢ミューズワークも最終週に突入。今日から子供ワークショップがはじまりました。今年は小学生と高校生たち。
初参加の子供達は緊張しながらも真剣に二時間レクチャーをまじえてびっしり稽古しました。
今年も私は夏休みらしい休みもなく何処にも旅行にはいかない夏でしたな。
ま、忙しいのはいいこったということで。
はや週末はキューブホールでの能「土蜘蛛」
今年は巣玉も大きい蜘蛛の巣を投げまくりましょうぞ。
能にもこんな演出のものもあるのかと楽しんでいただけたらと思います。それが能を見る入り口になってくれたら、それはそれで嬉しい
カメラ用の防湿ケースに春から出番を待っていた巣玉を確認。装束もどうしようかと考えている今が一番楽しいですね。


能「土蜘蛛」の魅力

さて九皐会定期公演も終わったので、8/25日に所沢ミューズで行われる「触れてみよう能の世界」で上演する土蜘蛛について書いてみよう。

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写真は、以前行われた時のもので、今とは劇場の舞台も様子が少し違うがイメージはつかめると思うのでupします。
今回は好評につき再演です。

土蜘蛛の魅力は、なんと言ってもその物語の展開の分かり易さだろう。
いわゆる能の構成としてよくある前半と後半に物語が別れる複式夢幻能と呼ばれる能は、前半は今は亡き主人公の亡霊が別の何物かに化身して登場し、旅の人と出会い、さも生きている人の如く会話し、今は亡き主人公(実は自分の事)の物語を語る。そして、あまりに詳しい描写ぶりに旅人に訝しがられると、実は自分はその者の化身であると正体を匂わせて消える。
後半には、その亡き主人公が、生きていた頃の艶やかな姿で登場して、ありし日の生き生きとした姿を見せ舞を舞う。
やがて明け方になると夢幻の如く消え失せるというものが代表的な構成かと思う。
未来から過去の物語を描くという手法が多く、しかも主人公はすでにこの世にいない人間である。

現代の芝居やドラマの時間進行と違った展開なので、慣れないと物語の流れがわかりにくいのだ。

ところがこの土蜘蛛は、登場人物は皆生きている人で、物語の進行も普通の時間軸に沿って進む。
しかも口語の会話のセリフが多いので、古語には違いないが、意味が聞き取り易く筋が大変わかりやすい。
現代劇に近い感覚で舞台を楽しむことが出来る。
小中学生に始めて見せる能にも選ばれるのは、この辺りのことがある。


では筋を簡単におってみよう。

最初に源頼光が登場し寝所に見立てた台にくつろぎ、袖に衣をかけられ病床に伏す様子を見せる。
出囃子が鳴り、侍女の胡蝶が典医の薬を持って見舞いに来るが、頼光は、日に日に弱りこのままでは寿命が尽きそうだ弱音を吐く。
それを胡蝶が看病する場面が描かれる(舞台上では、頼光に寄り添ったりせず、地謡が様子を語り歌い)やがて胡蝶は退出し時間が経過する。

一人病に伏す頼光の館に不審者がやってくる。
この悪役であり敵役が、この曲の主役たるシテの土蜘蛛が人間の僧侶に化けた姿だ。この曲では素顔で演じる。

「いかに頼光!おん心地はなにとござそうろうぞ」と呼びかける。

頼光は、夜更けに現れた不審な僧侶に問いただすが、怪僧は、薄ら笑いを浮かべて近づいくる(演技としては笑わないけど、そんな心持ち)
やがて突然蜘蛛の千筋の糸を投げかけ攻撃してくる。
このところの頼光の謎の病気もすべて、この土蜘蛛の成せる厄であったのだ。
頼光は枕元に置いてあった刀名刀「膝丸」で応戦し、怪僧にひと太刀浴びせると、怪僧は血を吹き出しながら消え失せる。(舞台では血は出ない)

館の異変に気づいた従者「ひとり武者」が、駆けつけると既にあやかしの姿はなく、血の痕だけが寝所から館の外へと続いていた。

頼光は、たった今の出来事を語って聞かせると、一人武者は血痕を追って追撃に立ち上がる。

かくして追撃隊がやってきたのは、土蜘蛛の住む塚であった。
そして、いよいよ追撃隊と本性を現した土蜘蛛の決戦が始まる。

この最後の戦闘場面は、力強い地謡と囃子の掛け声で奏され、舞台上が白くなる程の蜘蛛の糸を投げるので、大変見応えがある。
勧善懲悪のわかりやすいストーリーとテンポの良い舞台進行。

私が学生の頃、この能をワクワクしながら観たのをよく覚えている。
8月25日に所沢ミューズで行われる「触れてみよう能の世界」では、この土蜘蛛を上演する。
頼光は、兄遠藤和久が演じ、私が土蜘蛛を演じる。
是非見に来てください。

お申し込みは所沢MUSEへ







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