11月番組予告 (各回 各部毎 お求めいただけます)
本日は九皐会九月定例でした。ご来場ありがとうございました。
私は梅枝の後見と鳥追舟(とりおいぶね)の仕舞を舞いました。
鳥追舟は、あまり仕舞を舞う機会が少ない曲です。
能だと舟や子方が出ますが、仕舞は一人きりですので、能の話を知らないと、少し情景が浮かび辛かったかもしれません。
主君が長らく留守の間、留守役の男に、主君の妻子が脅されて田んぼの鳥を追わさせるというひどいお話。しかし、主君が帰り悪事が暴露れて、めでたしめでたしと、テレビの時代劇にありそうな結末です。
その鳥を追う場面がこの曲の仕舞になっています。
秋の田を飛ぶ鳥が見えたらしめたものというわけでした。
本日の能梅枝は、能富士太鼓の後日談的な物語。
能の扮装は、鳥兜に舞衣と、なかなか洒落ていてるのですが、作り物も二つ出ますし、細かな細工もあり、後見は一苦労な演目。無事に行き何よりでした。
さて少し先ですが九皐会11月定例公演の二部で、玄象ゲンジョウという名曲を上演予定です。
観世流では準九番習という格付の取扱いになっております。
ストーリーだけでなく、謡い方や節付けに面白くも難しいところがあり、口伝伝承により伝えられた謡い方があります。
その分、演技、演出の運び方も面白くなるわけです。やる方は難度が上がるので、うまくやれればの話ですが。
趣味で謡曲の稽古をされる方でも、十年以上多くの曲をみっちり稽古しないと辿りつかないかもしれません。
この曲、私の若い頃なら、ビートルズやエルビスプレスリーに憧れて、また今でも本場の音楽やダンス、大リーグ憧れて海外で自分の腕を試したいという方いると思いますが、遥か平安の御世に実在した琵琶の名手、太政大臣 藤原師長(もろながろ)もその一人。
海を渡り大陸へ行こうと志して旅に出たのです。
そして須磨の浦で、不思議な老夫婦に出会うのです。
私がシテを勤めるのは、なんと村上天皇の霊であります。
恐れ多くもいにしえの天皇役であります。
謡曲十徳に云う、望まずして高位に交じる であります。
こういう高貴な役は子役即ち子方がすることが多いですが、この曲はシテが勤めるのであります。
ということで大変位の高い役をいただきました。
心して勤めたいと思います。
またボチボチ、この記事も書くと思いますのでどうぞ宜しくお願いします。