能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

能楽教室

君子の交わりは淡きこと水の如し 浴衣会備忘録

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昨日は私の喜久謡会社中の浴衣会を矢来能楽堂にて開催致しました。
感染対策をしながらの夏の稽古会もはや三年目。

このやり方にも社中一同慣れてきまして、久しぶりに皆が顔を揃えて関係者ばかりの和やかな催しとなりました。
気軽な浴衣浚いで仕舞や謡曲の日頃の稽古の成果を互いに披露。皆々存分に舞い謡いました。

今回初の試みでは、日頃他県の遠方からオンラインで謡いの稽古をしている人達で連吟を組み、会場に来て謡いを合わせて、どこまで揃うかにトライ。
これが見事に息ぴったりで、とてもよい同吟になり大成功でした。
パソコン、Ipadなど、wi-fiの通信環境が格段に良くなっているお陰もあるなと感じました。

遠方から私とオンラインの稽古を希望する方が増えているので、今後こうした取り組みに手応えを感じました。

終わってみれば玄人の番外も含め二十六番の仕舞、十ニ番の連吟-独吟と、中身の濃い番組になりました。

会を運営する立場としては、以前より感染対策をしながらで楽屋も舞台も密になれず、時間も労力もかかり、また生身の触れ合いも以前より減りましたが、それでもこうして集える事は、今まで以上に一期一会の価値があり、大いに互いの励み、楽しみとなりました。
私も皆様の熱演に沢山元気をいただけました。

うちの社中は皆、帰り際には「お疲れ様でした。また頑張りましょうね。どうぞお元気で」とサラリと別れを交わして楽屋を後にします。

「君子の交わりは淡きこと水の如し」という言葉が思い浮かんだ昨日でした。

東京はお盆もという事もあり、ご多忙の中参加された皆様に厚く御礼申し上げます。

謡いや仕舞の稽古事というのは、現代人には馴染みが少ない人も多いレアな趣味とも思いますが、一生を通じて楽しめる芸事です。
そこで知り合った人達とも、意外に長くお付き合いが続けられます。気軽に門を叩いてみると良いと思います。

なんでもそうですけど、あとは師匠や仲間達との相性かなと思います。良き人達に巡り会えますように。


さて、来週は矢来能楽堂の若竹能。私は仕舞「天鼓 てんこ」と一角仙人の後見を勤めます。
ご来場お待ちしております。

あっという間に夏ど真ん中ですねえ。
八月はいよいよ3年ぶりの所沢ミューズワークショップ。
また熱い夏がやってきます。
無事の開催を祈っています。



身体は語る

ミューズワークショップの応募締め切りが近づいて来ましたので、ご案内します。

この10年で煎じ詰めて来まして、昨年書いたブログによく書いてありますので、こちらをご覧くださいませ。→身体は語る(昨年の記事)

書いてる事が難しそうな感じがしますが、やる事はそんなに難しくありません。
子供達なら1時間で覚えられる程度です。
大人だと、人によります。
繰り返し練習する事が大切です。

いつも姿勢を良くするのがコツですね。
美しさの基本は姿勢です。
それが出来れば、素敵な成果を得る事が出来るでしょう。

お申し込み、お問い合わせは→こちらから

今年の暮れから劇場改修工事なので、今の劇場では、これが最後。

今まで以上に楽しく熱い夏にしたいと思います。
応募お待ちしております。

所沢ミューズワークショップ始動

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累計600名を超える参加者となった夏のミューズの風物詩。
能楽ワークショップが昨日よりスタート。
今年も老若男女多くの申し込みをいただき定員超えでスタートです。
最後までくじけずに頑張っていただきたいです。

初日は、昼夜と基本レクチャーと総合練習から始まりました。

構える、すり足をするってことに、一日中取り組んでもらいました。

能は身体表現芸術ですから、演じる自らの体を使って物語の世界や役の人物の心象を表現します。
謡いとセリフによって描かれる目に見えない世界を演者の体で表現するわけですから、
どう形に表すかはその人次第です。
型や決まりごとはありますが、それを使ってどう表現するかは演じ手次第なのですね。
美しく形にするのか、そうでないか。
正解はありませんが、このワークショップでは、可能な限り美しさを目指しています。
形の無いものを美しい姿で表現する。

7週間後、参加者がどれだけ美しくなっているかを見るのが楽しみです。

今週は、
「諸国一見の能楽師 IN 北海道 義経伝説を追え」ということで、取材と社中有志の旅行会をかねて道東に行ってきました。
いずれレポートを書きたいとおもいますが、とにかく天気に恵まれて今回もまた素晴らしい旅になりました。
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一度行ってみたかった霧の摩周湖。

見事に晴れて美しい瑠璃色の湖面を見せてくれました。
竹生島のように、小さな島があります。カムイシュ島。


妖精王って漫画に子供の頃はまったのを思い出しました。
佐藤さとるさんのコロボックルシリーズにもはまったな。
3日間で1000キロを走破して、北海道の自然を満喫しました。

8月21日
ミューズ「触れてみよう能の世界」も候補湯発売中です。

能楽を体験する

来たら驚く日本一と自負する所沢ミューズ能楽体験講座
是非来てください
所沢ミューズ

君が代

今日の所沢ミューズの能楽プレワークには定員を超える参加者が集まり盛況でした。
小学生から80代の方まで4世代に渡る参加者の方々。
ご参加ありがとうございました。
短い時間なので、簡単な能の歴史レクチャーと、能面の話などから入りまして実技は、謡や仕舞の歩き方など、まさに初めの一歩のワークショップでした。
今日のは本当に短い時間でしたが、夏から始まるワークショップでは、より深く能や仕舞の面白さを充実した時間と設備で体験していただきます。
劇場の申し込みも始まり、今日の参加者からの申し込みもあり開講が楽しみです。まだ締切まで一月ありますから、日程調整して是非ご参加下さい。➡所沢ミューズホームページ


さて、今日の講座では老松の短い仕舞に挑戦。
この曲、能楽師の子弟なら早い子で3歳、4歳でお稽古する曲。
実際の能で演じるとかなり難しく長い演目ですが、一番最後の部分の短い仕舞が、めでたく覚えやすいので初めての仕舞に教えることが多いです。皆さん初めての体験に楽しそうでした。

この曲、菅原道真公が、九州大宰府に左遷させられた時に、自邸の庭に咲く梅をみて詠んだ歌
「東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」
に喜んだ梅(紅梅)が九州の道真公のもとに飛んで行った飛び梅伝説。さらにそれを追うように老松(追い松)も道真公のもとにいったという追松伝説をもとに創作された能です。

菅原道真というと、その後、都に異変が続き、これが道真公の怨霊の仕業とされて、それを鎮める為に天満宮をを建てて神と崇めて天神と奉り鎮めたという御霊信仰が世に知られているわけですが、能の演目には雷神となった道真公が都を襲うストーリーが「雷電」という曲になっています。
今日では学問の神様として受験生によく知られているのはご存知の通りです。
先日九皐会で上演した能「杜若」の在原業平さんは、少し年上ですが同時代の人で親交があり、歌を読んだりお酒を酌み交わしたようです。どんな話をしたんでしょうねえ。やっぱり恋の話ですかねえ(笑)

「老松」の能には、天神道真様は直接登場せず、老松が主人公という、映画で云えばスピンオフムービー。いわば外伝的なお話ですが、道真公を慕った松も梅も今や草木の神霊となっていて、前半は老人の姿に化身して訪ねてきた旅人と言葉を交わし、後半は人格化した神姿で、もてなしのめでたい舞を舞うという話。

物語の最後の方で謡われるのが、日本国家「君が代」の元歌で古今集や和漢朗詠集に選べれた詠み人知らずの歌。
「我が君は 千代にやちよに さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」
(時代が下り 我が君が君が代に転じたらしい)

の替え歌で

「これは老い木の神松の千代にやちよに さざれ石の巌となりて 苔のむすまで」
で、老松の永遠の生命力を讃えています。


君が代で検索すると昨今の政治問題や、「君が代」の歌詞がヘブライ語だという説や、日ユ同祖論など、なにかと話題に事欠かないのですが、千年以上詠われてきたこの和歌は、日本的で格調高くて好きです。
外国の国歌は、かなり勇ましい歌詞なので、やっぱり日本の歌は平和的で自然の営みすら感じさせます。

君が代に関しては色々なご意見もあるようですが、ここはひとつ平和的に一度じっくり比較して味わってみるのもよいかと思います。

能の中では、天皇親政の時代をテーマにした作品であり、「君が代」について、主語の意味合いについて、また政治利用がどうのこうのということは当然なく、永遠の平和を象徴するおめでたい歌でありました。
それでいいんじゃないかと思うのですが、駄目ですかねえ。。。

今日の仕舞いは、一番短いバージョンで、君が代は出てきません。
おめでたい言葉でめでたく終了しました。ありがとうございました。
めでたけれ。

































会員募集

今日NHK文化センター光が丘の稽古に行ったら、春の新講座の募集が始まっていました。
春から二つのクラスを受け持ってお稽古します。
勿論私本人が参ります。

しかし、なんでバスガイドしている写真が載っているのだろう。もう何年も前にやった、史跡めぐりの旅の時に話した時の写真なんですが。。。 しかも若手と書いてある。まあ、能の世界ではハナタレ小僧だが、世間の人から見たら若手とは云えない年だよなあ(笑)。
週末は、その若手達の会「若竹会」が矢来能楽堂であります。
坂君の巻絹です。是非どうぞ。

NHK文化センター午前の部
NHK文化センター午後の部

そして、スペシャル講座がこれ!!隅田川史跡めぐりの旅を予定しています。是非、ご参加下さい。

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今日NHK文化センター光が丘の稽古に行ったら、春の新講座の募集が始まっていました。
春から二つのクラスを受け持ってお稽古します。
勿論私本人が参ります。

しかし、なんでバスガイドしている写真が載っているのだろう。もう何年も前にやった、史跡めぐりの旅の時に話した時の写真なんですが。。。 しかも若手と書いてある。まあ、能の世界ではハナタレ小僧だが、世間の人から見たら若手とは云えない年だよなあ(笑)。
週末は、その若手達の会「若竹会」が矢来能楽堂であります。
坂君の巻絹です。是非どうぞ。

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  • 雑誌観世11-12月号 発売
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プロフィール

nohgakuhanabutai

観世流能楽師(能楽のシテ方 演者) 日本能楽会会員(重要無形文化財 能楽(総合認定)保持者 幼少より子方を勤め、東京神楽坂の矢来能楽堂で修行し2千以上の能楽公演・講座・コラボ舞台に出演・制作。毎月、矢来能楽堂定期公演に出演。 能楽重習曲、乱・石橋・道成寺・望月・安宅・砧・翁など披瀝。 また東京中野区・練馬区・所沢市・秋田県を中心に稽古と普及活動をしている。(公社)観世九皐会 能楽協会所属 日大芸術学部卒業 
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