昨日は九皐会別会にご来場賜りまして誠にありがとうございました。
お陰様で、多くのお客様にお越しいただき、無事に大役を勤める事が出来ました。厚く御礼申し上げます。
望月のシテは、14年ぶりの再演で、体力的には、若い頃とはやっぱり違うなあという思いと、しかし経験的には初演より理解してやれる部分や落ち着いてやれる自分がいて、両方を感じながらの舞台でした。
古式というのは、通常上演してるものより昔の演出に近いという事で、現在他流に残る望月と同様に、最後に望月に迫る場面が、少しリアルになっています。
今回望月役は、下掛宝生流の森さんでしたので、より古式らしい形になりました。
その他は、白頭に紅い牡丹を載せるなど、鮮やかな出立ちです。
装束の色目は、本番は宣伝チラシとは違う色入りとなりました。冑屋の主人という役柄に因み、九皐会の甲冑の柄の装束を着る事が多いのですが、初演を色無で勤めましたので、伝承等も考慮して今回はこの装束に決まりました。
シテの私は、ほぼ全てが台詞仕立てですので、口が自然に動いてくれたらいいなと思っておりました。
後半は獅子舞を舞う体力的にもハードな演目ですが、昨日は身体も動いてくれてよかったです。
舞台としては、シテの全編台詞調子に対して、ツレや地謡が、いわゆる謡い調になっており、花若との再会の場面や座敷の謡いの場面とラストシーンは、地謡の聴かせてどころでした。
また後半の獅子舞は、なんといっても、お囃子の見せ場、聴かせどころで、実にカッコいい、気合の入った最高の演奏でした。
後ろからの囃子の圧に後押されて私も力が入りました。
そして終わってみると、この曲、実は子方が一番長く舞台に出ているのです。
そう。この曲は、この子方、後継の花若の仇討ちの話なんです。曲名の望月は敵役、シテは家来。と面白い作りですが。
子方にとってはとても大変な役。昨日は、ツレを勤めてくれた坂君のお嬢さんが立派に大役を果たしてくれました。
この一日の為に、何ヶ月も稽古をしてくれて感謝でした。
また、米寿を迎えられる師匠が、後見座にお座り下さり、有り難くも身の引き締まる思いでした。
昨日は、初番の住吉詣から、一門総力戦で、九皐会別会ならではの大曲が並び、皆々力を尽くして勤めました。
大きな特別公演が無事終わり、ホッとしております。これもひとえに皆様のお陰と、厚く御礼申し上げます。
今後も精進を重ねて参りますので、ご後援の程、どうぞ宜しくお願い申し上げます。