能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

日記

夏の終わりに

FullSizeRender
今週は札幌の能楽キャラバン公演の観世流安宅の後見と浅草薪能の申合せと秋田まほろば公演の箙の地謡の予定でしたが、大仙市のまほろば公演は今年は中止。
しかし、秋田での稽古もあるので結局、札幌東京秋田と行ったり来たりのフライト。
台風の影響なのか雲が厚く、眼下の雲海写真が撮れましたが、こういう時は下降を始めると雲に入り飛行機も揺れるので緊張感があります。今回は往復とも雲が厚く、震える翼にドキドキしました。
帰り道、空港近くの国際ダリヤ園に立ち寄り束の間の夏休みを満喫。
凄い種類の花々に癒されました。
向こうの洋館でランチが食べられます。
もう30年も秋田に通っているのに、ここは始めてかも。実に見事な花畑。また行こうっと。
お薦めです。


IMG_2951

御礼 所沢ミューズ 触れてみよう能楽の世界

IMG_2846
第17回を迎えました所沢ミューズさんの「触れてみよう能楽の世界」27日土曜日に無事終了いたしました。
ご来場賜りましたお客様。
また三年ぶりに再開したワークショップに参加いただきました皆様。関係者の皆様。
誠に有難うございました。

今回は昨年夏に企画がスタートしておりまして、触れてみようでは、初めて三番目物の演目「杜若」テーマにやろうとのリクエストで、能と伊勢物語両方を学ばなくてはとスタッフの皆さんも伊勢物語や能の本を沢山読んで勉強して、ワークショップや公演に配る資料作りなど、一丸となって取り組んでいただきサポートしてもらえたのが、とても力になりました。
素敵なプログラムや資料を作っていただき感謝でした。
スタッフの熱気が伝わるようにチケットも昨年に続き、早くに完売しておりまして、あとは私のコンデションだけという事でしたが、お陰様で体調良好で臨むことが出来まして安堵しております。

同時企画の体験ワークショップは、今年は3回の練習で感染対策しながらトライ。
開演前にワークショップの成果発表を行いましたが、皆さま緊張しながらも謡ったり、舞う楽しさを感じていただけたようです。能は、自分でやると、ちょこっと謡ったり、舞うだけでもとても面白いのです。
これは体験してみないとなかなかわからない。
昔の将軍や武将達が能にはまったように、やる楽しさがあります。
これを機に、能に触れる機会を増やしていただけたらと願っています。

本番の公演では、能のお話と囃子の紹介、装束解説と能の実演と多角的に能に触れていただく盛り沢山の企画でした。
音楽ホールという能楽堂とは違ったステージで、気軽に能に触れていただく企画ですが、これを機に、矢来能楽堂など、本格的な能舞台の公演にも、是非お越し願えれば幸いです。


さて、終わったばかりですが、来年の企画は、既に今年の6月位からスタートしておりまして、
2023年8月26日土曜日に第18回触れてみよう能楽の世界を行う予定です。
私も精一杯頑張りたいと思います。
是非来年の手帳を買ったら書いておいて下さいませ。
春過ぎにチケット売り出しと(笑)
また来年もよろしくお願いします。
ありがとうごいました。

*写真は今年の公演より、カメラマンの渡辺さんより切抜きでいただきました。

ミューズワークショップスタート

コロナ禍で間が空きましたが、3年ぶりに所沢ミューズの能楽ワークショップ、仕舞と謡いがスタートしました。
なんと第一回からはや17年経つとか。
伝統あるワークショップと、開講式で主催のミューズさんから紹介されて、時の経つのは早いなと感じた今日でした。

講座体験者は累計600人は超えてるようで、毎年参加者と行う基礎訓練が体幹を鍛え、私にとっても血となり肉となってるのだろうと思います。

今年は劇場の感染対策をし乍なので、マスクしながら、また人数制限して、時間や密度を気にし乍のワークショップ。なのでゆったりと贅沢な感じです。

以前ならば車座になって和気藹々と始まるのですが、今年はお互い目しか見せ合わず、距離をとってと、今までとは違う中で手探りのスタート。

互いに近寄れないので、手取り足取りではなく、いつも以上にじっと見てもらう、じっと聴いてもらう。そして自分の体を考えて動かす。

でもこれ、意外と良くて、物真似から入るには、観察ってとても大事。
このやり方も悪くないと思った今日でした。

最後まで無事にやれればと念じています。

という事で、今日はちょっと筋肉痛の私でした。

参加者、関係者の皆様もお疲れ様でした。



触れてみよう能楽の世界 プレ終了

IMG_2757
八月二七日公演の所沢ミューズさんの講座プラス普及能がありますが、その事前講座に行ってきました。
ご来場賜りました皆様、誠に有難うございました。
今年は早々に本番チケットも完売しておりまして、ありがたい事でございます。

今年は伊勢物語を題材とした能 杜若を取り上げさせていただき、原作から五百年近く経って作られた能の面白い作品について、あれこれお話しさせていただきました。
原作はとにかく時代が古く、ご存知の通り謎多き作品でして、一千年の間、実に様々な解釈や研究があり、専門家の方に語っていただいた方がよほど詳しく面白かろうと思いましたが、演者の視点からお話しさせていただきました。
昔男=業平 思い人=二条ノ后の解釈の元に膨らんだ能に描かれた伊勢物語の世界、悟りへと導く舞台を当日はお楽しみいただけたらと思います。


さて、ミューズさんでは三年ぶりとなる仕舞や謡いワークショップも来週から始まります。
今年はどんな出会いが待っているか楽しみです。
またご報告いたします。

皆様は、どうぞ健やかな夏休みをお過ごしください。

夏の若竹の終了 御礼

本日は九皐会若竹能でした。
私は天鼓の仕舞と能一角仙人(シテ駒瀬師)の後見でした。
お暑い中沢山の方にご来場いただき、誠にありがどうございました。

一角仙人は寓話的な能で、登場人物も多く、作り物も多く、楽屋や後見はなかなか忙しい曲ですが、ハニートラップにかかって神通力を失う仙人のお話は、現代的でもあり面白い能です。
今年は中国物を題材にした能シリーズということで、かちっとした楊貴妃とよい取り合せだったように思います。

若竹能は能二番に仕舞も多く、見どころも多いので、またぜひ来年を楽しみにして下さい。

八月は矢来能楽堂改修工事があり、九皐会定期公演はお休み!です。
入門以来はじめてかもしれませんね。定期公演の夏休みは。

私は例年のミューズ公演のプレ講座や触れてみよう能楽の世界の杜若のシテ、また夏のワークショップや横須賀美術館公演や寒川神社薪能など、催しがいくつかあり、社中の稽古もあるので、相変わらずバカンスはありませんが、じっくり勉強して身体を鍛えながら夏の後半に備えたいと思います。

皆様もどうぞよい夏休みをお過ごしください。
ありがとうございました。

FullSizeRender

君子の交わりは淡きこと水の如し 浴衣会備忘録

FullSizeRender
昨日は私の喜久謡会社中の浴衣会を矢来能楽堂にて開催致しました。
感染対策をしながらの夏の稽古会もはや三年目。

このやり方にも社中一同慣れてきまして、久しぶりに皆が顔を揃えて関係者ばかりの和やかな催しとなりました。
気軽な浴衣浚いで仕舞や謡曲の日頃の稽古の成果を互いに披露。皆々存分に舞い謡いました。

今回初の試みでは、日頃他県の遠方からオンラインで謡いの稽古をしている人達で連吟を組み、会場に来て謡いを合わせて、どこまで揃うかにトライ。
これが見事に息ぴったりで、とてもよい同吟になり大成功でした。
パソコン、Ipadなど、wi-fiの通信環境が格段に良くなっているお陰もあるなと感じました。

遠方から私とオンラインの稽古を希望する方が増えているので、今後こうした取り組みに手応えを感じました。

終わってみれば玄人の番外も含め二十六番の仕舞、十ニ番の連吟-独吟と、中身の濃い番組になりました。

会を運営する立場としては、以前より感染対策をしながらで楽屋も舞台も密になれず、時間も労力もかかり、また生身の触れ合いも以前より減りましたが、それでもこうして集える事は、今まで以上に一期一会の価値があり、大いに互いの励み、楽しみとなりました。
私も皆様の熱演に沢山元気をいただけました。

うちの社中は皆、帰り際には「お疲れ様でした。また頑張りましょうね。どうぞお元気で」とサラリと別れを交わして楽屋を後にします。

「君子の交わりは淡きこと水の如し」という言葉が思い浮かんだ昨日でした。

東京はお盆もという事もあり、ご多忙の中参加された皆様に厚く御礼申し上げます。

謡いや仕舞の稽古事というのは、現代人には馴染みが少ない人も多いレアな趣味とも思いますが、一生を通じて楽しめる芸事です。
そこで知り合った人達とも、意外に長くお付き合いが続けられます。気軽に門を叩いてみると良いと思います。

なんでもそうですけど、あとは師匠や仲間達との相性かなと思います。良き人達に巡り会えますように。


さて、来週は矢来能楽堂の若竹能。私は仕舞「天鼓 てんこ」と一角仙人の後見を勤めます。
ご来場お待ちしております。

あっという間に夏ど真ん中ですねえ。
八月はいよいよ3年ぶりの所沢ミューズワークショップ。
また熱い夏がやってきます。
無事の開催を祈っています。



お暑う御座います

FullSizeRender
7月になりました。
稽古場のミニ屏風も変えました。花の作法は知らねども短冊に願いを。

今週は館林から山形鶴岡へ出張続きでした。
所変われば暑さも変わるですが、山形は自然も多く、広々とした田や山や森の景色が涼やかでした。

最近の学校公演では能と一緒に、教科書に載っている狂言「柿山伏」の上演が多いですが、「出羽の羽黒山より出でたる、かけでの山伏」と、登場して名乗るのがお決まりです。今回出張先のすぐ近くに、この羽黒山がありました。

いつも生徒さんに解説をしてましたが、実際に行った事がなかったので、良い機会なので帰りに参詣して見て参りました。山上に古刹の大きな社があり、巨木が聳えていました。
FullSizeRender
古来山岳修行で知られた山ですが、確かにここにはエネルギーが満ちていて、元気になります。

今も山で修行する方がいるそうです。
その日も白装束の山伏姿の人を見かけました。
茅の輪もくぐり、パワーをもらって帰って来ました。
次の学校公演では、今までよりリアルに羽黒山の話が出来そうです。
現地でお世話になりました関係者の皆様、誠にありがとうございました。また是非伺いたいと思います。



昨日は三月九皐会定期公演でした

昨日は兄、和久のシテの忠度と弘田さんのシテの大原御幸。
どちらも能の名曲。
私は、懸案の大曲、大原の地頭をさせていただきました。
これは最高難度の楽曲と言ってよく、地頭をさせていただき大変光栄な事でした。

お囃子の流儀により手組みも違いますし、奏者や演者、またその日の地謡陣により組み立ても違いますので、その時その時の細かな違いで大変神経を使います。
地謡は一人で謡うわけではないので、どう全体のバランスを取りながら流れをつくるか。
瞬間瞬間とても感覚的な駆け引きを皆が共有しながら謡っています。
西洋のハーモニーとは違い、それぞれの声を出し合いながら全体で調和を取るという能独特、いかにも日本的な考え方の合唱法ですので、その面白さと難しさがあります。

寂光院の閑けさと、この大曲の独特の風情と品格。
そして戦場の凄惨な有様など、建礼門院が目にした平家の天国から地獄へと突き落とされる恐ろしさと、その先にたどり着いた静かな祈りの心境を、シテは殆ど動かず、謡いで表現する難曲でした。

実によく出来た楽曲で、名人上手の先達の謡声が耳に残っていて、少しでもそこに近づきたいと思っていました。

つい昨日まで大先輩達が謡ってきた名曲を、いつの間にやら自分が謡うキャリアになってしまったなと、時の経つ速さを恐ろしくも感じた昨日でした。


この半月あまり地謡のお役が立て続きまして、それにかかりきりだったので、終わって少しホッとしました。
反省も多々ありますが、今日からまた次に向けて切り替えて稽古して参ります。

来月の四月矢来能楽堂、九皐会定期公演は、私は桑田君のシテの須磨源氏の地謡陣に入ります。宜しくお願い致します。

来月は九皐会別会(特別公演)もありますし、是非チェックしてみて下さい。


昨日は、ご来場誠にありがとうございました。

六条御息所夢幻終了来場感謝

昨日、飯島晶子さん朗読とのコラボ出演が無事に終了しました。

六条御息所夢幻と題した源氏物語の朗読に、邦楽の奏でる笛や鼓、また楽器による虫の音や鈴の音などの効果音も入り、そこに真言声明と石山さんの笛、そして能姿の私の六条御息所が現れるという演出の舞台でした。

照明演出もあり、いつもと違うステージと空間、いつもとちがうメンバーとの舞台。名人上手の皆様に助けていただき乍ら、再演でもあり息の合った舞台でした。


源氏物語は現代語の朗読ですので、物語に入りやすく、通常の能ですと地謡やシテが自らを語るのですが、今回はそれを飯島晶子さんの朗読が受け持ち、私はパフォーマー的な役割の演出でした。

飯島さんの情感の入った朗読は、ただの読み聞かせではなく、芝居でもあり登場人物の心情やその場の世界を見事に浮き上がらせます。


私は自分のパートの能の持ち味や良さを壊さないようにと、あまり気を衒わず型を崩さず、笛と声明の呼吸を受けてと心がけました。


にしても本物の高僧方による真言声明とあの笛は、至高の体験といっても良い極楽浄土の響きでした。

今回も連れて行っていただきました。


実に得難い役者冥利に尽きる体験でしたね。

ありがとうございました。

明日の朗読コラボ 六条御息所夢幻

いよいよ飯島さんの朗読コラボも明日に迫りました。
昨日は九皐会で永島君の井筒の地謡。久しぶりに長い曲の舞台に座りました。シテ1人ワキ1人だけで見せるこの長さは、やはり大曲です。
今日はしっかり休んで明日に備えます。


面装束の準備も整いまして、
なかなか素敵な装束が揃いました。

この紀尾井ホールは、私も箏曲とコラボしたり、新作能のリア王に出演したりと、能楽堂では出来ないような面白い演出の試みで何度か来ています。


邦楽向きの横長の板の間のステージ。
さてどんな仕立てになるか楽しみです。

チケットは夜の部は少し席あるようなので興味のある方は主催の飯島さんにご連絡下さい。

ご来場お待ちしております。

IMG_0571
IMG_0572



twitter
ギャラリー
  • 社中記念会
  • 山廻り
  • 山廻り
  • 山廻り
  • 御礼九皐会 山姥
  • 公演直前
  • 公演直前
  • 山姥の楽屋裏 
  • 山姥の楽屋裏 
  • 11月公演予告②山姥やまんば  能の解説音声 パート3(能 後半)追加しました。
  • 11月公演予告②山姥やまんば  能の解説音声 パート3(能 後半)追加しました。
  • 11月公演予告②山姥やまんば  能の解説音声 パート3(能 後半)追加しました。
  • 11月公演予告②山姥やまんば  能の解説音声 パート3(能 後半)追加しました。
  • 11月公演予告②山姥やまんば  能の解説音声 パート3(能 後半)追加しました。
  • 雑誌観世11-12月号 発売
  • 山姥の楽屋裏 山姥のつえ 
記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

nohgakuhanabutai

観世流能楽師(能楽のシテ方 演者) 日本能楽会会員(重要無形文化財 能楽(総合認定)保持者 幼少より子方を勤め、東京神楽坂の矢来能楽堂で修行し2千以上の能楽公演・講座・コラボ舞台に出演・制作。毎月、矢来能楽堂定期公演に出演。 能楽重習曲、乱・石橋・道成寺・望月・安宅・砧・翁など披瀝。 また東京中野区・練馬区・所沢市・秋田県を中心に稽古と普及活動をしている。(公社)観世九皐会 能楽協会所属 日大芸術学部卒業 
カテゴリ別アーカイブ
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ