能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

舞台こぼれ話

盛久 念珠

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さて三月の定期公演での盛久に向けて、少しづつ緊張感が出て来ました。
頼んであった新しい数珠が出来上がって来たので、それに少し手を加えました。
まあ、本来数珠の玉数は、108とか、色々細かく決まっているわけですが、これは舞台用に多少略式にして色々使い易くしてあります。
玉を大きくすると108個では、二連にして持つ能の持ち方では、大きすぎるのですね。かと言って小さい玉だと女性的な感じになりますし、今回は少し大きめな玉で作りました。
房の色は、こちらの要望の色がなかなか手に入らないので生成りの白と、薄緑に染めました。
もう少し薄く染めたかったのだけど、発色が良すぎました。ま、房だけ変えることは出来るので、使ってみて様子を見ます、

結構演者の皆さんは、数珠持ちが多くて、マイ数珠を持ってる人多いです。
数珠マニア?
気にする人は、こういう仏具は色々あるので、稽古もあるし自分のがいいわけです。
うちにも祖父や父の使ったものや、私の作ったものなど、いくつかありますが、今回の少し大きい仕立てのは初めて。
今年は、10月公演の自然居士でも使えそう。
やはり本水晶と翡翠を使って職人さんが作ってますから、舞台用とはいえ全く本物であります。
これで観音経を唱えれば無敵。

というわけで、是非三月九皐会に実物をご覧にお出まし下さい。

何といっても、師匠喜之先生の吉野天人揃いがメインイベントにありますので、華やかな舞台をお楽しみいただけると思います。

チケット発売中です。詳しくは観世九皐会ホームページへ。



九皐会 納会

本日、10月の台風にて延期になっていた定期公演が神楽坂矢来能楽堂で行われ、ようやく納会の運びとなりました。
ご来場の皆様、ありがとうございました。

本日は九皐会の定期公演では初出となる出雲大神を描いた大曲、大社の地頭を勤めささていただき、9月の稽古能からの10月のリハーサル。そして台風による延期。約4ヶ月の懸案がようやく終わりホッとしました。

本日はすっきり1時間45分程度で収まりました。
初同の地謡が謡いだすと、ラストまでほば謡い放しになる地謡の分量の多い演目で、場面構成が沢山あり、場面場面をちょっとでも粘ると2時間超えもあるので、地謡の方は流れをかなり意識して謡いました。
本日は囃子方は、ずっと打ちっ放しで、大変だったと思います。
出囃子、真の次第から始まり、真の一声、クリ、サシ、クセ、ロンギ、そして中入来序。間狂言アシライがあり、後場は出端の出囃子から始まり大ノリを打放しで、天女ノ舞、楽、早笛、舞働と舞事のオンパレード。途中地謡は緩急がありますから山あり谷あり長大なジェットコースターのような演奏でした。
神能でありながらこういう曲はなかなかないですね。

今年は一月の翁に始まり、とても充実した一年の締めくくりとなりました。誠にありがとうございました。

今日は、10月から延期のなった公演ということで、お客様にお詫びと感謝を込めて、冒頭に喜正師の案内と解説、また猩々の連吟が付祝言として能終了の後に別に追加する形に行われ、終演後は玄関にて演者のお見送りをせていただいて、ささやかながらお礼を申し上げさせていただきました。
年末のお忙しい中に、公演にお越しいただき誠にありがとうございました。
心より感謝御礼申し上げます。

色々お世話になりました皆さま、ご来場頂いた皆さま、関係者の皆様。
今年も一年、ありがとうございました。



はや師走

東京に戻りまして週末は、茉莉会社中の記念発表会で五番程謡わせていただき、皆様大変ご立派にお勤めになり、こちらもほっとして嬉しくなりました。
おめでとうございました。

本日は、三曜会が国立であり、佐久間君、萬斎師が大活躍の1日で、こちらも仕舞の地謡、能の後見を勤めまして、無事に終わりほっとしました。
能の大会(だいえ).という曲の最近の演出は、狂言方が中盤の見せ場を作り、またシテは特別な面をかけ、早装束の変身などもあり、とても面白いのですが、その分裏の仕込みは大変でして、能としては目まぐるしく大掛かりな演出です。
能の場合、いわゆるスタッフというのはいませんから、後見をはじめ出演の演者同士で手伝って準備をしますので、そこに経験と知恵と伝承の技が色々あるわけですね。
これをお互い本番一発でバシッと決めてしまうところが能の良いところでもあります。
本日も無事に決まり無事終了。
お疲れ様でした。

はや師走。来週もまた舞台が連日続きまして、シテも二番あるので、まだまだ気を抜けません。

あ。本日朝、NHKFMラジオ放送
この間収録したラジオ。葛城と安達原。
どなたか聴いてましたでしょうか。

朝早いからね。。。

聴いて下さってたら嬉しいです。
ありがとうございます。


歌仙会

本日は、年一回の喜之一門の夏の稽古会。
通称歌仙会。
三六歌仙に因み、36番の演目をやるのが正式ですが、今年は半歌仙にて一門の舞囃子の番組が並びました。
客席は、師匠と一門と囃子方皆様だけという、玄人の目だけが光る、完全非公開の厳しい勉強会。
一番が終わっても、もちろん拍手などあるはずもなく、謡いはもちろん、舞の一挙手一投足に厳しい目が注がれます。
師匠先輩からご注意や指導があり、若い頃は随分ここで叱られながら学んだものです。

若い人だけでなく我々や先輩方にとっても緊張感のある舞台。

今年も多くの反省や教えをいただきました。

昨夜は渋滞の影響であまり寝てないので、どうなることかと思いましたが、緊張感がそれを上回りましたね。なんとかこちらは事故を起こさず終わりました。

さて明日は、午前中から航空公園彩翔亭にて所沢ミューズの能楽謡ワークショップの練習の最終日。
明日また朝から頑張って声を張り上げたいと思います。
出るかな〜声。


能楽師走る 平成三十年の九皐会納会 そして翁へ

早いもので今年の毎月の九皐会定例会も本日無事終了いたしました。
一年間、ご来場賜りました皆様、誠にありがとうこざいました。
今日は人数物の七騎落という曲で、喜之先生と喜正師、和歌さんの三代共演で、楽屋も賑やかでした。もう一番は健之介君の九皐会での初シテでした。
また将来能楽師を目指す若い子達も楽屋に働きに入るようななりまして、皆揉まれながら自然となじんで行くのだなと、自分の若い頃を思い出しました、

矢来能楽堂は、裏の楽屋の改修工事が明日から始まり、子供の頃から出入りし、内弟子で住み込んだ楽屋とも今日でお別れでした。
意外と感傷はなくて、次の未来が楽しみな自分でした。

納会が済みますと年内もカウントダウンに入りますが、今年はまだ学校公演が残っており、あちこちと飛び回ります。私はあと二番ほどシテを勤める予定です。最後まで頑張って行きたいと思います。


さて来年平成31年の九皐会定例の一月公演では、早いもので、いよいよ翁の太夫を勤めさせていただきます。

丁度30年前の昭和最後の正月。即ち平成元年正月の定例会は、昭和天皇御崩御の弔意を表し神歌法会の式となり、その千歳を勤めまして、翌平成二年の正月に師匠 観世喜之先生の翁の千歳役させていただきました。
あれからあっという間に30年経ったのだなと、しみじみ思います。

その後何度か千歳の役はさせていただくことになるのですが、平成五年に三度目の千歳の時、今度の鼓の頭取を勤め下さる鵜沢洋太郎さんが、その時の脇鼓で、頭取が人間国宝の鵜沢寿先生、もう一人の脇鼓が私の鼓の師匠でした鵜沢速雄先生でした。
鵜沢家三代の鼓で、その時お勤めいただいたのが印象深いです。

初めての千歳の時は、当時住み込み修行中でしたので、喜之先生に何度も稽古をつけていただき、また鵜沢先生が初役を心配してくださって、鼓の稽古の後に当時稽古場にされていた鐵仙会の稽古場で稽古をつけていただいたのが忘れられない思い出です。

速雄先生は恐ろしい程の裂帛の気合いで、間違えたら生きて帰れないような気がして、必死に叫んで舞っていたように記憶しています。
それを、たまたま事務所におられた先代の観世銕之丞先生が、おっ、何かやってるなと覗きに来られて、何も仰らずに、見て見ぬ振りをして微笑んで去られたのも懐かしい思い出です。
(その当時、父は鐡仙会の定期公演に伺っていたので、公演でご一緒させていただくことも多かったので今よりも交流がありました。)


当時を思い出すと、若い頃は口から心臓が出るような思いを何度もしましたが、今になれば良い勉強をさせていただいたなと思います。

あの頃の師匠方の年齢を自分が既に越したのだと思うと、己の未熟さに恥じ入るばかりですが、精一杯勤めを果たしたく思います。

数日前、洋太郎師に来ていただき、翁の稽古をさせて頂きましたが、30年前の緊張が蘇るような思いがしました。やはりこの曲は特別の中の特別なのだなと思った次第です。
無事に新春の舞台に出演し勤められる事を祈るばかりです。

どうぞよろしくお願い致します。

久しぶりの投稿で、長文になり失礼しました。

紫陽花

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国立能楽堂の周りにはあじさいが沢山咲いていて、楽屋の中からもよく見えます。
舞台の合間に癒されます。

赤頭狐戴輪冠

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ryoushi作

今日の学生鑑賞会は、ちょっと可愛い狐さん。
よく見ると、ぐらつき防止の細工あり。

皮にウルシに箔を乗せて作ると軽くて丈夫でしなやか。
これも皮らしい。

矢来能楽堂客席が新しくなって新春スタート

今年も一年が始動しました。
どうぞよろしくお願いします。

かねて当ブログでも話題にしておりました、一門の本拠地、矢来能楽堂が、年末の改修を経て、客席が新しく生まれ変わりました。
本日はそのお披露目の会があり、一門も正装にて参集しました。

実際に客席に座ってみると、赤い椅子がとてもシックな装いで実に素敵になりました。
これもひとえに、多大なるご後援、ご寄付をいただいた多くのお客様のお陰です。
皆様お一人お一人のお力添えのお陰で、素敵な客席になりました。

今日は披露会の後、長いこと皆で客席に座って、ずっと誰もいない舞台を眺めていましたが、
座り心地もよくて、ここで能がゆっくり見れたら幸せだろうなと、
この登録文化財に指定された古くて新しい舞台が、今更ながら愛おしく思えました。

皆さんのお力によって、まさに皆さんの能楽堂になった気がいたしました。
感謝でです。
今度の椅子には、椅子の背中に能楽の詞章プレートがついたのですが、これもご寄附の方々のお陰。
素敵な能楽堂にしていただいて本当にありがとうございます。

今週末日曜日より、いよいよ今年の定期公演が始まります。
新しい客席は、是非その目で直にお確かめください。



また、私が「邯鄲」のシテを勤めさせていただく矢来能楽堂、若竹能公演(2月28日)もチケット発売になりました。
是非、この新しい客席から見ていただけたらと思います。
頑張らねば。何卒宜しくお願いします。


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子供の頃、客席を走り回っていた兄と感慨深くツーショット。





本日は矢来能楽堂定期公演でした

朝アップした記事が何故か消えてる??
今日は、満席ですよーという情報でした。

仕舞の地頭と能船弁慶の地謡でした。

仕舞の地謡は、小唄、中ノリ、平ノリ、ロンギや切と色々出てきました。地謡いの聞かせところだったので違いが出せてたらいいのですが。

今日の能の子方はシテの長山さんのお孫さん。
今日は、ぜーんぶ彼が持っていったなあ(笑)
立派な能楽師になりそうです。楽しみです。

私は年内は九皐会で、いろいろと勤めさせていただきます。
そんなわけで今年の秋は個人主催の遠藤喜久の会はいたしません。
来年5月24日に矢来能楽堂でいたす予定です。


明日にでも年内の予定は、また告知しますね。
宜しくお願いします。

触れてみよう能楽の世界 高砂 舞台後記

日曜日行われた公演写真より後半場面を1枚up
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ご存知 世阿弥作の祝言能「高砂」
何度かこの舞台となる兵庫県高砂市の高砂神社を訪れているけど、海も近く風も爽やかで、松が境内に其処彼処に育って居て、なんとも清らかな風情があります。
ここにはかの有名な相生の松があります。
今は五代目とか。

「 相生」という言葉。
共に生まれ育つという事ですが、音では相老にも通じ、共に老いるまでとも表せます。
雌雄の松、あるいは赤松黒松の2種類の松が偶然にも癒着して一つの木として育つ事があり、それを相生の松というそうです。
現在高砂神社にある松は、赤松黒松の相生の松だそうで、海辺に育つ黒松と、山辺に育つ赤松の種子が偶然にも癒着して一つの松として相生となる姿を、我々人間の夫婦和合の理想としたのですね。
常緑樹として常に緑をたたえ、その威風堂々たる姿は、神木と崇められて来ました。


能の高砂のお話は、古今集の序文に「高砂住の江の松も相生のやうに覚え」とあり、大阪住吉の松と高砂の松はまるで夫婦のようだという、当時の流説が記されている一文に着想を得たと思われ、高砂、住吉とそれぞれ遠く離れたところに住む老夫婦の松の精が、夫婦愛と松の徳を語るお話で、今で云えば遠距離恋愛とか、別居夫婦のような形ですが、心が通じ合っていればOKさと言っているわけです。

後半は舞台を住吉に移し、住吉の神が泰平を寿ぎます。
この神様は、イナナギ神のアオキガハラの禊で生まれ出た神々の中の一柱です。(住吉三神 )
現在では後場の住吉の神は、写真のような姿で登場するのが伝承されていて、これが神官に神が憑った姿とも、若い神様の姿とも見て取れるような出で立ちです。神舞という颯爽とした舞を舞いめでたく舞い納めて終曲します。

能のジャンルの中で、神能は総じて清々しく、特に高砂は爽やかな光と風に満ちているので、私の好きな演目です。
厳かな古態の作りの能が、能楽堂とは違う特殊な音楽ホールの会場でどうか。初心者向きの講座能でいささか難解かなとも思いましたが、ワークショップ10周年を祝って世阿弥以来の名曲が上演出来て良かったです。

関係者の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。



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