昨日、飯島晶子さん朗読とのコラボ出演が無事に終了しました。
六条御息所夢幻と題した源氏物語の朗読に、邦楽の奏でる笛や鼓、また楽器による虫の音や鈴の音などの効果音も入り、そこに真言声明と石山さんの笛、そして能姿の私の六条御息所が現れるという演出の舞台でした。
照明演出もあり、いつもと違うステージと空間、いつもとちがうメンバーとの舞台。名人上手の皆様に助けていただき乍ら、再演でもあり息の合った舞台でした。
源氏物語は現代語の朗読ですので、物語に入りやすく、通常の能ですと地謡やシテが自らを語るのですが、今回はそれを飯島晶子さんの朗読が受け持ち、私はパフォーマー的な役割の演出でした。
飯島さんの情感の入った朗読は、ただの読み聞かせではなく、芝居でもあり登場人物の心情やその場の世界を見事に浮き上がらせます。
私は自分のパートの能の持ち味や良さを壊さないようにと、あまり気を衒わず型を崩さず、笛と声明の呼吸を受けてと心がけました。
にしても本物の高僧方による真言声明とあの笛は、至高の体験といっても良い極楽浄土の響きでした。
今回も連れて行っていただきました。
実に得難い役者冥利に尽きる体験でしたね。
ありがとうございました。
宗教音楽というのか、あの声明は私もなんともありがたい気持ちになりました。
今回の舞の部分は、六条の美しい記憶でもあり、魂が上の世界を巡る様でもあり、やがて破の舞のような笛になり六条の情念ともこの世ともとれる中を廻り、また鳥居の前に巡り戻り着地して、野宮のラストシーンに繋がる感じに自然となりました。
公演日は何と旧暦9月7日だそうで、またここに戻ってきた六条なんだなあと。
そして火宅は、出れたのか否か。
能と同じように明確には答えを出さずに留めて暗転する演出でしたね。
以前能楽堂で能 野宮をした時に、終演後のアンケートを取ったところ。火宅を出た4割 いや出なかった6割。
との回答でした。
しかし今回は成仏に導くお経が謡いと重なり、またいつもの能とは違う感じなので、また違う答えになったろうと思います。
舞については、これはあまりこちらから解釈せずに、それぞれのお客様の源氏物語の世界観を投影して好きに見ていただけたらいいなと思いました。