10月11日(日曜日) 12時半開演の狂言と能 で自然居士を勤めます。

世阿弥の父上、観阿弥作ということで、現代の芝居に通じるお話の展開の作品で、わかり易く約1時間ほどですが、いくつか見る上での初歩的な決まり事を説明しておきます。
これ、わりとよく質問されるので。

お約束
①いろいろな役者が同時に舞台上に登場した時。目の前に居ても、お互いが見えているとは限らない。
②お互い、はっきり向き合ってない時は、存在が薄くなる。
③舞台上(ステージ)の実際の距離と、物語の中での役者同士の距離は同じではない。(舞台上近くにいても遠い事もある).
④舞台上の時間と物語の中の時間は一緒ではない。(時間空間の跳躍と伸縮)
⑤セットが少ないので、舞台上にないけど、物語としは存在していることがある。ないけどあるの設定。(見えないものは空想してねの法則)

能舞台は5メートル弱四方のエリアのステージなので、テレビの2画面、3画面のように同時に存在しながらも分かれていて目の前にいるのにお互い見えてない、聞こえていないという設定の場面が、少なからずあります。
また狭い舞台上の演出で、現在なら照明を暗くして存在を消し、観てほしい所にスポットライトをあてて、お客さんが混乱しないように場面をわかり易くするのですが、能には照明がありません。
なので、なんか不思議な感じがする場面もあります。
また、時間が飛んだり、伸びたりもします。

以下ネタバレ的な事もありますので観てから読むのもありです。

物語の展開
イ 自然居士登場 最初の登場は能の客席を観衆に見立てて、説法を始めるという場面。なのでまさにそこが説法のステージという設定。

ロ そこへ少女が目の前にやってくるが、最初は居士も少女の存在を認識していない。(2画面ような感じ)

ハ 少女が目の前で連れ去られるが、舞台上の距離と、物語の中の人物同士の距離は違うので知らん顔?

二 人商人は舞台上の居士の目の前のワキ座へ(客席から見て右手前方)に少女をさらって連れて行くが、物語の中では遥か遠くの人買船の中に連れ去られたという設定 距離と時間の跳躍+二画面。

ホ 一度居士が説法の座から立上がり橋掛へ行くと、場面が変わり舞台転換したことになり、ステージは雲居寺から人買船の泊まっている大津の岸へ場面がジャンプ。

へ 自然居士が少女を助けに行くが、実際はそれなりの距離と時間が経っている。舞台演出では、すぐに追いついてしまうが、時間と距離を飛び越している。(実際は大津まで11キロ。徒歩2時間弱、急ぎ足ならもう少し早い)

ト 人買船の停泊している岸で人商人と対峙するが、やがて船に乗り込むという設定。でも実際には船の大道具のセットは出てこない。(無いものは想像してねの法則)

チ 船に乗り込んだ後、船の中の設定だが、いつの間にか船上が広くなったり、狭くなったり演技の都合で伸び縮みする。

とまあ、色々なお芝居を見つけている人は、自然と溶け込めると思いますが、意外と変な感じ、不思議な感じと思うこともあると思います。

リアルのようでリアルで無い感じ。
昔の人は、凄く頭が柔軟だったんだなと感じます。
臨機応変に解釈や設定をどんどん変えて、都合の良いように進めていく。学ぶこと実に多し。
特に見えてるのに(すぐそばにいるのに)見えてないという演出はよく質問されますね。
観客の間には目の前に見えてるに、役同士は見えないの?と、最初は不思議な感じがしますね。
でもこれも慣れてしまえば、とても無駄のない演出なのです。
限られた空間で物語を進行する為に出来た演出でしょうか。

なので役と役がお互いにはっきり相手に語りかける時は、しっかりと相手に向き、相手を認識してる場面です。


これだけ押さえておけば、この曲は時間軸に沿って物語が進行するので、とても面白いです。
せっかく買い取った娘を返したくない人商人がなにかと自然居士に注文をつける場面が見どころですね。

そして芸によって事を解決するというところがこの曲の主眼かなと思います。
今回は小学2年生の女の子が、少女役です。
もうこんな大変な役(縛られて口に縄をかけられている設定なのでセリフがないのです)
(舞台では縄はかけませんよ! 無いけど在るの法則です)
出てくれるだけでエライです。
頑張ってなんとか助けねば!

お楽しみください。

この公演は、感染症対策として前後左右をあけて席を販売しています。
以前のフルに販売していた状態の客席からすれば、まさにガラガラに近い感じでご覧いただいております。
最大でも100席(満席237中)しか販売しておりません。しかもまだお席に余裕がございます。
なんたる贅沢。
狂言は20分弱、換気休憩後、能は1時間弱程度の演目ですから安心してご覧いただけると思います。
どうぞ日曜日は矢来能楽堂へお越しくださいませ。
お待ちしております。お申し込みは矢来能楽堂まで宜しくお願いします。

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