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さて今日から、いよいよ東京都もステップ2に入ります。
まだ6月中は、私の関わる公演は、すべて中止で舞台はありませんが、社中の稽古等は、徐々に再開致します。

とはいえ、以前のようには出来ないので、安全対策をしっかりして、録音やマイク、また、リモートや映像技術なども取り入れての、新しい様式を模索しての稽古になります。
通信環境が良いと、リモートでも謡曲の稽古は全くストレスなく普通に対面で出来るので、暫くはこれが主流になるかもしれません。
昔見たSF映画のようですが、謡いを謡っている。不思議な感じがします。

わが社中の一番最先端は、長年古典的な個人稽古をされてきた齢八十歳の女性。
この自粛中に新しい様式にしなやかに対応して、パソコンとスマホを駆使してLINEもテレビ電話も使いこなされます。誠にお見事。
若造?の私の素晴らしいお手本です。
年だから新しい事を覚えるの苦手とかいって尻込みしない、その向学心を見習いたいと思います。
お蔭様で、私も使えるようになりました。

自粛中に、フェイスシールドを自作したり、遮蔽シールドも自作したので、風通しのよい稽古場では、静かな舞の稽古から体を戻したいと思います。


私といえば、この3カ月近い休みは、公演や稽古はなく自宅に引き籠ってはいましたが、とにかく忙しくコロナ対策に追われて、毎日頭がグルグルしていました。

一日の半分以上はメールや電話のやり取りとパソコンに向かい、残りの時間は自宅の稽古場で稽古をしたり、録音や撮影に明け暮れていました。
稽古場は、一種の実験室のようなもので、リモート技術や映像技術など、次世代の新しい事を少し学びました。

今は、ソーシャルディスタンスがあり、映像なのど動画配信がもてはやされいます。
それしか手がないのですから当然です。
私もホームページにCMのようなものを公開しているので、否定派ではありません。
生身の身体と変わらない表現や伝達が出来るなら、それでもよいかとも思います。

しかし実際は、まだ生身の力を上手く伝えることは出来ないなと感じています。
最新の映像音響技術は、生身とは違った凄いことは、いろいろ出来るのですけどね。
視覚や聴覚からの脳の刺激は凄いものがありますし、面白い事も出来ます。

しかし、それと古くからの能の上演形態は、やはり別物という気がします。

これから、生身の舞台には、現代の最新テクノロジーには出来ない事があることを、生身だから感じあえる事がある、その素晴らしさを自分自身、改めて確かめ直して行きたいと思うようになった自粛期間でした。
舞台に出る機会は失ったのですが、なにか芸能への信仰心のようなものが心に残った気がしています。


さて私の所属する矢来能楽堂観世九皐会は、7月12日から、新しい様式での公演再開を目指しています。
間もなく準備が整えば公式発表があると思います。
ご期待下さい。