九皐会関係者で話し合いが行われ、コロナウイルス感染拡大により、六月の九皐会の全日程は中止と決まりました。
三月公演の延期として予定されていた6月6日の私の盛久は、再延期はなく公演中止と決定しました。

春からずっと私の舞台を、九皐会の舞台を楽しみに待っていてくださったお客様には、本当に残念なご報告です。予定を開けていただいたのに誠に申し訳ありません。

お客様の安全を第一に考えますと、現状これが最善の選択なのだと思います。どうぞご理解賜りますようお願い申し上げます。


なお公演についての払戻は、観世九皐会の方にお問い合わせを承ります。
緊急非常事態宣言中につき、九皐会職員もリモートや非常勤などで大変ご不便をおかけしますが、何卒お許しいただきたく、伏してお願い申し上げます。

詳細は観世九皐会ホームページをご覧下さいませ。
お手数をおかけいたします。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。



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私事を申せば、本年の前半の盛久、千手、半蔀立夏供養と私自身も楽しみにしていた三番のシテが、全て中止となり、言葉もありません。
現状来年以降にもしチャンスがあれば、再度挑戦したく思います。
三月から4ヶ月間に及ぶ休演になり、能舞台に立つことが、即ち生きることである我々演者にとって、これは思っていた以上に苦しい事だと実感しています。

私の子方以来50年に及ぶ舞台人生で、今程舞台に立ちたいと思う事はなく、失った舞台という平和な日常を一日も早く取り戻したいと切に願っています。



こんな中で、ひとつ役者としての光明を見出すとすれば、今回の事で、千手や盛久の能に出てくる平家の人々の心情がまさに自分の事のように感じられ、花壇の一輪の花を見ても感激し、生きる事の尊さや喜びや悲しみをしみじみと感じています。
能の役作りにはこれ以上ない経験と。
慰めではありますが、そう思って自分に言い聞かせている次第です。そして、いつかそれが役に立つだろうと。

能は、まさに鎮魂と再生の芸術であり、主人公達が、生き生きと生きる力を見せる最高の舞台です。
私自身も生き生きとして生きていかなくてはなりません。

そして、今こそ能だと。

それを叫ばずにはいられない今日の私です。