本日は、晴れ渡る晴天の中、様々な催しを振り切って所沢航空記念公園彩翔亭にご来場賜りましてありがとうございました。
毎回、話込んで伸びるので、講座時間を30分伸ばすようにいわれて、伸ばしてみたら、それでもさらにオーバーでしてしまいました。本日、お越し下さった皆様は、きっと能「井筒」は、心を澄ましていろんなことを想像しながら、またいろいろな角度から能舞台を楽しんでご覧になれると思います。

来れなかった方は、是非、伊勢物語、4段、17段、23段の三つは、ちょっと目を通して来られるといいと思います。ついでに24段も。

特に23段は、この能の下敷きになったお話で、動かぬ居クセで地謡が謡語るのは、この23段場面です。

また後シテの初句の謡は、17段。序の舞を舞い、昔を想う場面では4段。などなど。

伊勢物語に挿入されている和歌や物語に少しひねりを加えて謡い込まれて出てきます。

基歌やその物語のイメージ、業平や紀有常の娘のイメージを少しつかんでいると、また見方が変わります。

おお、あの歌をこう入れてたか! おお、あの段のイメージをここに! って具合に、少しマニアックに楽しめると思います。

また、是非、詞章を一読してご覧なられことをお勧めします。聞き流すには勿体ないほど、伊勢物語ワールド満載の台本なのですね。 この台本の作者は、間違いなく伊勢物語とその注釈書などを横に置いて、能台本を創作したに違いなく、言葉遊びの面白さも感じられるかと思います。

今回、調べていて読んだ本に、「暁」の謎を解く(著者 小林賢章)という本に出合ったのですが、暁は朝ではないという考察がとてもしっくりきました。
朝方では、どうも感じが違うと私も思っていました。

前シテの初句 暁毎の閼伽の水は、 やはり深夜の方がしっくりします。

この暁の時間は、この本以外も、違う時間だという事を聞いたことがありますが、いずれも朝方ではないという説で、その方が私は出ていきやすいです。

それにしても、この井筒は、脇の登場から、シテの女の登場で、時間軸がずれるというか、スリップするし、井戸から水を汲むとか、業平の塚に花を手向けるなんて冒頭の登場場面も全て演出的には省略されているし、クセは舞わないし、物語は伊勢物語(前述)を知っていることを前提に進むし、型はそぎ落とせるところはみなそぎ落として動きを少なくしているので、この曲を、世阿弥作の凄い名曲だと聞いて、初めて能を観る人が見たら、結構面喰うと思いますね。
観客の想像力に物凄くゆだねているので。

勿論、なんの予備知識なくても舞台は観れますけど、謡われる言葉も、節が付けば伊勢物語の内容だって、違って聞こえるわけで。

まあ、見方様々なので、ここではあまり書きませんが。


今回はそんなことを、自分でも学ばせてもらいながらの講座でした。

お時間ある方は、是非、ひと調べしてくると、好奇心をくすぐる面白い事に沢山出会えると思います。


ま、わたしのブログを読む人は、きっと調べるのはお好きかと思いますが。。

九皐会は、まだ自由席あるそうなので、世阿弥が上花也といったこの名作を是非、私のシテでご覧頂ければと思います。

チケットは観世九皐会事務所にお尋ね下さい。


さて、当日の面はどうしようかなあ。
ま、師匠とは相談してはあるのですけどね。なかなか最後まで悩ましい選択です。
自分の力量もありますしね。
ま、当日のお楽しみです。

どうぞ宜しくお願い致します。