本日は、九皐会定例会にご来場賜りましてありがとうございました。
開門一時間前から炎天下にお並びいただき、何と申し上げたらいいのか、日よけの少ない劇場で申し訳ありませんでした。
開演時には炎天下だった空も徐々に雲行きが怪しくなり、何と私の出番には雷雨。
一声で常座に出てゆきますと豪雨が能楽堂を叩く音まで聞こえて参りました。
お陰で偶然の演出効果で舞台も涼しくなりました。
一曲の最後に地獄に落ちた亡者が海に再び沈み留めるところで、雷がゴロゴロドシャーン！
何とも見事にはまった今日の舞台でした。
実はお盆もあり、今日は先代が好んだ古い良い面装束を師匠がお出しいただき、私も喜の字の一字を先代からいただいているものですから、出る前に先代の肖像画に礼をして舞台に立ちました。果たして終演時に雷が落ちましたので。こりゃ先代が舞台の出来に怒っているかしら？と肝を冷やした次第です。
今日は最高齢の父が久方ぶりに地頭に入り、思い出に残る舞台なのは間違いなく。
ご覧いただいた皆様はもとより、ご共演いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
追伸
今日は早々と画像がカメラマン二人から来ましたので、前場登場の場面もup。
この装束は小さくて、もうあまり着れるサイズの演者がいなくなってきました。
小柄で得することも多いんですよ（笑）
直にみると何とも言えない色合いでした。良いものを着せていただきました。一期の思い出。
カラーの後シテUp
この曲の演じるのに、なぜか、ディズニー映画パイレーツオブカリビアンのデェビージョーンズを連想してしまうののです。海の底と云う意味を持つ名前なんですが。
海の底から抜け出せない男です。
魂の救いと云うのは、もしかするとテレビチャンネルをひねるように目の前に常に示されているのかもしれません。でも、どうしても違うチャンネルをひねっていまうようなものなのかも。
そしてチャンネルをひねるのは自分。自力なのではないかと思うのです。
救ってくれといいながら、本当はまだ救われたくないというか。
阿漕が真に懲りた時。救いはもたらされるのかも。
これは個人的見解。
今回は救いを求めたのが旅人でしたが、これがもし阿弥陀様とかだったら違ったのかなとも。
また曲中で法華経を読誦されますが、結局、再び海の底へ沈む結末は、救われたのといえるのか。演じていると、まだ海にずっといたいという気持ちが強くてですね。あまり救われた感はしなかったです。しんどいけど海が好きでちょっとは居心地のいい場所なのかも。
まるで能楽堂のような（笑）