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定例会も無事に終わりました。
ご来場ありがとうございました。
歌占のクセ。
長いしっかりした謡で7、8分位あったかもしれませんね。
長い仕舞をご覧いただきありがとうございました。
実は、先日の私の会でも、この仕舞を父に舞てもらい、それに負けないようにと勤めました。
ま、若さだけは勝っていたかと思います。35年の開きがありますから楽勝です(笑)。

昨日使用した扇は、5年前に他界された中森晶三師の追善扇でした。
矢来の家は、昔から仕舞の時も能の中啓(能用の扇)を模した柄のある扇を使います。
ですから本来は、歌占は神扇ですから、神扇の鎮扇を使うことが多いのですが、昨日は初番が「養老」で神扇が出ていましたので、違う扇という事で、あれこれ扇箱を探していますと、お祝いの扇やら追善の扇など沢山あるなかで、おや、これはと手に取ったのが、5年前に他界された同門の大先輩の追善扇でした。
沢山の本を書き残してらっしゃるので、ご存知の方も多いいと思いますが、父と同世代の方でした。
丁度一周忌追善に跡取りの貫太師が「求塚」をされる時に作られたもので、私の持ち物の中では曲趣に合うような柄の扇でした。
思い出せば御生前、中森晶三師の家で古い書物の事でお話して頂いたり、翻訳文を読み合ったこともあります。
とにかく能が大好きで研究熱心で勉強家で行動力があり、肝の据わった方でしたので、天国にいても一度くらいは「歌占のクセに書かれた場所は本当はどんな所か、いっちょう見てやるか!」と地獄の探訪の旅に勇んで出かけたかもしれないと思わせるような方でした。
そして、閻魔様を言い負かして逆に説教をして帰ってくる・・・(笑)
まあ、そのくらい頭が切れて豪胆な方でした。
なので、昨日は上から見ていて、「おやおや、私の扇をお使いですか(苦笑)。遠藤さんそこは能ではこうなっていますけどね、本当は違いますよ、こうなってたんですよ。行くと面白いですよー、是非あなたも行ってみるといいですよ。」なんて笑っていらしたかも。
終演後、お孫さんで修行中の健之助君が、祖父の使っていた本ですと見せてくれた古い謡本には、こまごまとした直し書きが沢山してあり、「さすがだな・・・」と見入りました。
思いもかけず昨日は、晶三師を偲ぶことになりましたが、私も後の人に語り継がれるいい仕事を一つでも出来たらと思いました。

九皐会では、7月に阿漕のシテを勤めます。これまた、壮絶な曲であります。
いやー今年は夏までは濃い巡りあわせですな。顔つき変わりそうであります(笑)

先日告知した所沢ミューズの1日体験教室は、お陰様で定員に達したそうですが、まだ、期間内は募集中です。
さて、今年はどんな夏がやってくるか楽しみです。