今日は日曜日の節戸で使う杖の話。
能では、登場人物が杖をついて出てくる演目があります。
盲目の人のつく杖。
老人や老女のつく杖。
そして今回の亡霊のつく杖。
他にも山姥のつく鹿背杖なんてのもあります。

それぞれに伝えられたつき方があり、いわば演技術、演技のコツとして伝承されています。
藤戸の杖は幽霊杖なんて、私共はちょっと怖い言い方をしたりしますね。

杖にすがるということに、現実的な実用とは別の意味があるわけです。
また、コツコツと出す音に、別の意味を持たせて感じてもらうなんてこともあります。
藤戸に出てくる亡霊は海から来ますから、海の中なら杖はいらないとか、杖をついても音はしないはずとか、そのまま考えるとそんな気もしますが、その音は杖をつく音であって、普通に杖をツく音ではないのです。心音のようなものかとも思います。
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能に使う杖は大変きれいなもので、まっすぐな竹です。それぞれ身体に合わせた自分のものを使います。

ハリーポッターの杖と同じマイ杖なのです。

さて、当日はどんな風にできますか。お楽しみ下さい。