能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

愚か者

今日は公演も終わり、夕方疲れてうとうと眠ってしていると、インターホンが鳴り、お巡りさんが二人来訪。
おやおやこんな時間にどうしたのかと思うと、稽古舞台の横のコンクリートの植え込みに落書きをした者が居て、犯行を見た方から通報があって来たとの事。
見ればスプレーで白い植え込みに文字のような黒い落書き。
うちの近所の住宅の壁にも最近この手の落書きをよく見かけます。
巨大なペイントアートではないので、きっと一瞬の犯行でしょう。通報された方、ありがとうございます。
悪い事は出来ないというか、ちゃんと見て居て通報してくれる人がいるのですね。

やれやれ。塗り直す手間を作ってくれるよなあ。。
やる方は一瞬でも、やられた方は塗り直すの一日二日がかりなのよ。

我が家の周りは繁華街なので、防犯カメラが網の目のように設置してあり、この植え込みの前の通りも3台くらいあるのです。
この監視カメラ網に映らずこの辺り一帯を通る事は不可能なんですが、よくまあそんなところでやりますよ。

結局他のお巡りさんも来られて、写っているはずなのでカメラを確認して捜査するとの事でした。

今日は満月だからなあ。犯罪が増えるというのは本当かも。

謡いの稽古をして、小督などを謡っていれば、決してそんな事はしないだろうに。

六条御息所夢幻

昨夜高知公演から無事戻りました。
台風直撃コースに入り、行きはなんと一日9時間かけて大廻りして高知入りでした。
弘田師の羽衣の地謡と喜正師の安宅の後見に入りました。
安宅はやはり大曲ですね。
道具や持ち物も多く、役の人数も多く、出入りも多いので、全ての役の人が神経を使います。
矢来の家は、安宅の上演がとても多いので、私もシテ方の全部の役をひと通りささてもらったので、それなりに慣れてはいますが、それでも毎度緊張致します。
舞台は生ものなので、ほんの細かな道具の扱いや装束のこと、わずかな間合いや数ミリのズレが気になるものですし、思わぬところで影響が出るで、気をつけながら勤めます。
高知県立美術館能楽堂は大変立派な素晴らしい舞台で見応えがあります。
皆々励み、弁慶も無事に安宅の関を抜けました。

さて東京に戻り本日は、今度私が出演する朗読コラボの御息所夢幻の下申合。声明と囃子方とキャストも揃っての通し稽古。
八年位前に一度板橋の安養院という大きなお寺さん主催で上演した作品を、今回朗読家の飯島晶子さんが練り直しての上演です。
私は能の装束をつけた六条の姿。葵上の生き霊の六条と野宮の優雅な六条の姿で朗読劇に出演します。
能のお囃子ではなく、声明や朗読劇の囃子方の音楽の中に入ります。

今日は安養院さん本堂での下稽古。
私はそれほど能の型と違うことはしないのですが、真言宗の声明と舞の型はよく合います。
いや合わせてくださっているのか(笑)

そこに石山裕雅さんの笛が入ります。
もう石山さんの笛はとにかく凄くて、なんでも吹けてしまうのです。朗読の音楽も吹くので何種類も笛をお持ちになり自由自在。もちろん能管も。
今回は、せっかくなので能管を使っても能に寄せすぎない感じが出ればとご相談しました。
でも能管を使うとやはり能のようになるのですね、不思議と。全く違うと私も舞えないし。結構難題のようですが、能囃子とはまた少し違う不思議な感覚です。
石山さんは、稀なる笛の才人ですが、四百年続く武州里神楽の十代目家元の太夫です。なので舞えて囃せるスーパープレーヤーなのです。能の稽古もしてらしたので、舞の型もわかるのでそこに合わせていただく感じです。
今回は演奏のみの出演です。


そしてそこに入る声明の声で舞うのは、癖になる程心地よいのです。
まさに荘厳。
今日は特に本堂でしたから、ホンマもんのお坊様方の真言声明で、もう別世界に連れていかれる感じです。
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飯島晶子さんの源氏物語の朗読を聞かながら、あれこれ想像していると能のキャラクターが出てくる。そんな作品に仕上がってます。

紀尾井ホールは客席の入場人数制限をしての公演で、安心して静かに見れる公演です。
まだお席があるそうなので、是非、朗読と声明、そして能姿の鬼と美しい六条御息所を見に来てください。
宜しくお願い致します。IMG_0571
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伝説の琵琶 九皐会11月予告1

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11月番組予告 (各回 各部毎 お求めいただけます)

本日は九皐会九月定例でした。ご来場ありがとうございました。
私は梅枝の後見と鳥追舟(とりおいぶね)の仕舞を舞いました。
鳥追舟は、あまり仕舞を舞う機会が少ない曲です。
能だと舟や子方が出ますが、仕舞は一人きりですので、能の話を知らないと、少し情景が浮かび辛かったかもしれません。
主君が長らく留守の間、留守役の男に、主君の妻子が脅されて田んぼの鳥を追わさせるというひどいお話。しかし、主君が帰り悪事が暴露れて、めでたしめでたしと、テレビの時代劇にありそうな結末です。
その鳥を追う場面がこの曲の仕舞になっています。
秋の田を飛ぶ鳥が見えたらしめたものというわけでした。

本日の能梅枝は、能富士太鼓の後日談的な物語。
能の扮装は、鳥兜に舞衣と、なかなか洒落ていてるのですが、作り物も二つ出ますし、細かな細工もあり、後見は一苦労な演目。無事に行き何よりでした。


さて少し先ですが九皐会11月定例公演の二部で、玄象ゲンジョウという名曲を上演予定です。
観世流では準九番習という格付の取扱いになっております。
ストーリーだけでなく、謡い方や節付けに面白くも難しいところがあり、口伝伝承により伝えられた謡い方があります。
 その分、演技、演出の運び方も面白くなるわけです。やる方は難度が上がるので、うまくやれればの話ですが。

趣味で謡曲の稽古をされる方でも、十年以上多くの曲をみっちり稽古しないと辿りつかないかもしれません。


この曲、私の若い頃なら、ビートルズやエルビスプレスリーに憧れて、また今でも本場の音楽やダンス、大リーグ憧れて海外で自分の腕を試したいという方いると思いますが、遥か平安の御世に実在した琵琶の名手、太政大臣 藤原師長(もろながろ)もその一人。
海を渡り大陸へ行こうと志して旅に出たのです。
そして須磨の浦で、不思議な老夫婦に出会うのです。


私がシテを勤めるのは、なんと村上天皇の霊であります。
恐れ多くもいにしえの天皇役であります。
謡曲十徳に云う、望まずして高位に交じる であります。

こういう高貴な役は子役即ち子方がすることが多いですが、この曲はシテが勤めるのであります。
ということで大変位の高い役をいただきました。
心して勤めたいと思います。

またボチボチ、この記事も書くと思いますのでどうぞ宜しくお願いします。


御礼能楽祭

日付変わって一昨日パラリンピック期間の能楽祭の第一日目の土蜘蛛に出演して参りました。
初日無事に出演出来て安堵しました。
ご来場誠に有難うございました。

日頃あまり一緒に舞台に立たない家々の皆様とご一緒出来て光栄でした。
また今回はお装束もおシテの方から拝借させていただき、いつもと違う装いで新鮮でした。

同流でも家々様々で、ああしてる?こうしてる。
という他家の流友とのやりとりもいつもの如く。
伝承や型も様々あり、あれこれ細かな違いをうかがいながら勤めるのも勉強になります。

土蜘蛛は、今は普及公演など上演頻度が高いですが、私の父の若い頃(戦前戦後ですね)は、それほど上演されなかったと聞きました。
わかりやすくて蜘蛛の巣を投げる奇抜?な演出より、渋くじっくりした作品が当時は好まれたのだとか。
時代が変わればお客様の好みも変わるという事でしようか。時代を感じます。

今回は、おシテは梅若研能会の加藤さんなので、私のいる矢来のうちとも違うやりようの土蜘蛛で、とても面白かったです。勉強させていただきました。

そういえば、ずっーと昔は、蜘蛛の巣は投げず、ある時一本の紐を投げたのがコロンブスの卵のように、今日の蜘蛛の糸を投げる演出に繋がったと聞いた方があります。そして段々投げる数が増えていったと。
(真偽の程は研究者にお尋ねを)

あの蜘蛛の糸も、昔は演者が自分で作っていたようで、うちにも祖父や父のお手製の小ぶりなのが残っています。今は材料が手に入らないのでなかなか私らは作れませんが。

流儀や家々の伝承により工夫も多い曲なので面白い演目です。

ともかくも日曜の巴に続き8月の大役は乗り越えられたのでホッとしました。

ありがとうございました。

九月は矢来能楽堂九皐会定期公演の仕舞。
先になりますが11月は、同じく定期公演の玄象のシテがあります。
また学校公演(それも土蜘蛛)もあり、同門の舞台も続くので予定通り行くことを祈ります。


さて、告知ですが、10月12日に、久しぶりにコラボレーションの催しに出演します。
八年位前に一度お寺さんの催しで上演した朗読とのコラボです。声明が圧巻でした。
お囃子も能楽囃子ではないので、能とは違いますが、朗読、声明、笛、鼓の中に能姿の六条御息所が入って参ります。
ベースは飯島晶子さんの朗読で、そのお話を膨らますような感じで私は出させていただきます。
今回は紀尾井小ホールに場所を移し、一般公開との事で、また趣も変わると思います。

飯島晶子さんは、私の会でも朗読と能と題して、能の作品の元となる古典朗読と能公演の組合せで何度かご出演いただきました。

今回は、あちらの主催で源氏物語の朗読がメインになり、そこに実際の絵が割って入る演出になるかと思います。
時節柄上演の無事を祈ります。

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御礼 触れてみよう能楽の世界

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日曜日の巴は無事に終了しました。
ご来場お客様、関係者の皆様ありがとうございました。

直前まで劇場の方々と感染対策に頭を捻ったイベントでしたが、無事出演出来てよかったです。
ミューズの音楽ホールの特設舞台は、過去、欄干や鏡松の製作をしたり、毎度設営や仕込みの準備にも関わるので大変思い入れのある催しです。
能楽堂とは違う独特の空間の使い勝手に毎度悩みます。

巴は、本舞台を使ってしっかり見せれる曲なので、このホールに向いていた気がします。
で、久しぶり演じてみると、とてもいい曲だなあと。また能楽堂でもやりたいなと。

若い頃に演った時には、戦の場面に気を取られて、型でしか感じなかった義仲との別れとか、哀れとか情愛を、能の中にしみじみ感じられる歳になりました。
それだけ歳と共に涙と別れを経験したのかも。

それと、この曲の型や演出がよく出来てるなと。
セットも何もない舞台空間で地謡が物語るので、お客様にとっては空想力、想像力がいると思いますが、琵琶湖や粟津ヶ原、静かな湖面、吹き抜ける風や寺々の鐘の音が想像出来たら、現実以上かと思います。

そういえば私は、琵琶湖周辺を子供の頃に父と、大人になって三度もゆっくり旅してるので、ありありと情景が浮かぶのでした。いいよね琵琶湖。

だからか。入りやすかったのは。
旅。大事ですね。

また旅に出られる事を願いつつ。
無事終演出来たことを感謝いたします。

講座能なので、お囃子方のお話や、装束が見れて楽しかったとの感想もいただき、能がより身近なものになれば嬉しいです。
ありがとうございました。

来年は、3年ぶりの仕舞謡曲ワークショップをリニューアルして開催する事を予定してます。来年こそはですね。


お知らせ
今月26日まで能楽写真家協会作品展がソニーイメージングギャラリー銀座で行われています。
渡辺国茂さんが、私の半蔀の舞台写真を出してくださったとの事。


金曜日、パラリンピック能楽祭に出演予定です。
加藤師のシテの土蜘蛛で、源頼光をさせていただきます。国立能楽堂です。こちらも無事を祈っています。

Tokyo2020  東京2020オリンピック・パラリンピック能楽祭 ~喜びを明日へ~パラリンピック期間の公演

東京オリンピックがいよいよ始まりました。
昨日は若竹能の申合の帰りにちょうどブルーインパルスの飛行機雲が見えました。
2年前に買ってあったオリンピック公式浴衣を着てスタジアムへ見に行きたかったなと思いつつ夏空を見上げました。
若竹能は、予定通り行われます。詳細は矢来能楽堂へ。

夜の開会式TVもうたた寝しながら拝見(最近早寝なもので💦)
開会式って意外と長いのね。
その長さに対して最後の方に流れた能楽の映像が短くて、もっと流して欲しかったなーと。。

スポーツの祭典ですが、日本には大和飛鳥奈良時代以来から現代までの多様な文化が今も息づいているので、世界に誇れる歴史と文化の層の厚みがもっと見れたらよかったなあ。と演出の苦労も知らず勝手な事を思いました。色々ありましたからね。きっと物凄い制約の中であれを纏めるの大変だった事と思います。
お疲れさまと申し上げたい。

と、日本中の人が色々思いながら見守ったと思いますが、ともかく選手の皆さんには最後まで頑張って欲しいと思います。頑張れ日本!



さて、再掲ですが、このオリンピック期間に合わせて
東京2020オリンピック・パラリンピック能楽祭が千駄ヶ谷の国立能楽堂で行われます。
700年来の伝統を継承してきた能楽界を上げての一大イベントです。
オリンピック期間の5公演は、各流宗家、人間国宝出演のまさにオールスター共演。
これこそ世界の人に見て欲しい世界に誇れる公演だと思います。


パラリンピック期間には、バリアフリー対応の2公演の予定で行われます。
オリンピック期間の5公演はもちろんですが、パラリンピック期間の2公演も是非ご来場ください。



私は、8月27日のパラリンピック期間 の第一日目の土蜘蛛に頼光役で出演せていただく予定です。
九皐会からは、佐久間君が解説を勤め、永島充君が胡蝶、また後見、地謡にも、他家の諸先生とご一緒におなじみのメンバーが参加して頑張ります。
シテは、梅若研能会の加藤さんです。千筋の蜘蛛の糸が乱れ飛ぶ華やかな舞台になりそうです。どうぞお楽しみ下さい。


昨年パラリンピック期間の公演が中止延期になっており、今年は無事に行われることを願っています。



また、この土蜘蛛は、「ささがに」という、普段の公演で見れない、面白い間狂言が入ります。

これ、茂山家の狂言で、昔関西で始めて見た時は地謡に居て、笑いをこらえるのが大変だった、なんとも楽しい間狂言です。

能楽が初めての方から、子供も大人も、きっと全人類が楽しめる舞台です。
是非ご来場くださいますようお願い申し上げます。
詳細は、能楽協会のホームページをご覧くださいませ。→リンク


色んな事が平穏無事に行われる事を念じています。

皆様にとっても、よい夏休みになりますように!




八月22日触れてみよう能楽の世界 プレ講座終了


今日は午前10時からと、早い開始時間にもかかわらず、100名以上のお客様にプレ講座にご参加いただきました。ご来場ありがとうございました。

あっという間の時間で、まだまだ話し足りなかったわけですが、残りは是非当日をお楽しみになさってください。
当日も装束やお囃子の解説をお楽しみいただきます。

今日時点で、ガイドラインに則り、ミューズは通常通りの開催が出来るとの事です。
安心してお申し込みください。チケットは大好評発売中です。申し込みは所沢ミューズまで。

私も来月の開催を心待ちにして、稽古に励みたいと思います。宜しくお願い致します。

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再掲 第16回触れてみよう能楽の世界 巴 事前講座7月10日キューブホール

土曜日のプレ講座のご案内 再掲です。

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今年のミューズの触れてみよう能楽の世界は、能 巴 トモエをテーマに、講座と能の上演をいたします。
好評発売中!!

8月22日の本講座と公演に先立ち、7月10日の事前講座では私が1時間程、能の世界を喋り倒します。面や長刀の実演もする予定。

ミューズ会員様はなんと500円!!!
一般1000円の事前講座です。

気軽に航空公園の散歩ついでに覗きに来て下さい。土曜の午前10時からです。
お待ちしております。

問い合わせは、所沢ミューズまで。
チケットカウンター電話0429987777

七夕にちなんで

本日は七夕に因んで漢武帝の星祭りから始まる東方朔いう能を国立能楽堂で上演。伝説の賢者と西王母が相舞。シテ 観世喜正師
東方朔は、あまり馴染みがないですが調べてみるとなかなか面白い人物のようです。

本日は地謡。
悪尉物ですが、神能のような、ちょっと位取りが難しい曲です。 
囃子事も多くやりようによっては思いの外時間のかかる曲です。
本日は比較的すっきりまとまったほうかな?
如何でしたでしょうか。

来年九皐会若竹能でも出る予定とか。
見逃した方は是非来年。

ご来場ありがとうございました。

第16回触れてみよう能楽の世界 巴 事前講座7月10日キューブホール

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今年のミューズの触れてみよう能楽の世界は、能 巴 トモエをテーマに、講座と能の上演をいたします。
大好評発売中!!

8月22日の本講座と公演に先立ち、7月10日の事前講座では私が1時間程、能の世界を喋り倒します。面や長刀の実演もする予定。

ミューズ会員様はなんと500円!!!
一般1000円の事前講座です。

気軽に航空公園の散歩ついでに覗きに来て下さい。土曜の午前10時からです。
お待ちしております。

問い合わせは、所沢ミューズまで。
チケットカウンター電話0429987777

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