能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

京丹後。良いところでした。チーム九皐会

本日は京丹後市の網野町での学校公演。
本日のシテは鈴木啓吾君。
これでこちら方面のシリーズは終了。
四日間で千名を超える生徒さんに能狂言を鑑賞いただき、また、能、狂言、囃子の体験ワークショップを通じて日本の芸能の魅力について理解を深めていただきました。

今回の九皐会チームに参加していただいた演者の皆さんは、皆様、現役バリバリなので、公演のスケジュールを縫うようにして参加いただき、一緒懸命指導していただいたり演じていただいたりと、日頃舞台に真剣に向き合っているからこその熱い思いが、子供達に充分に伝わっている気がしました。

どの学校も生徒さん達の学習態度や鑑賞態度が素晴らしく、私たちもそれに応えようと夢中になってやれたように思います。良い能楽教室になりました。
今回は、公演運営責任者として事前ワークショップから関わってきた身として、環境を整えてくださった学校関係者の方に深く感謝したいと思います。

東京の公演を中心に動いている私としては、こちらにこんなにゆっくりいることは初めてでしたが、とっても良いところでした。
また来れたらいいなと思います。

ありがとうございました。

土蜘蛛 2 文化庁巡回公演

image

文化庁の学校公演三日目。チーム九皐会は、本日は舞鶴市の小学校の明倫小と福井小の合同開催で、体育館のアリーナは400名以上の生徒さんと先生方でびっしり。
ステージに舞台を組んでの公演でした。


蜘蛛の巣を放つ度にアリーナから歓声が上がり、子供たちが乗り出して見てくれるのがわかりました。今日もうまくいったようでよかったです。

そのほか、狂言の舞台や、お囃子と狂言の体験も、子供達が大きな声で盛り上がってくれたので、きっと楽しい能楽教室になったのではないかと思います。


土蜘蛛のシテは今日で無事終わり。
先週からシテの舞台が続きましたので、ちょっと一安心。
これで次は来月十一月五日の矢来能楽堂での松風(まつかぜ)のシテですね。
そっちは長丁場出づっぱりの舞台なんで心身共に頑張らなくっちゃ。

本日の写真は、森常好さん、常太郎さん、御厨さんの頼光四天王組と久田さん、原岡さん、沢田さんのお囃子の方々。ありがとうございました。
((転載及び無断借用はご容赦下さいませ)

*松風公演のチケットのお問い合わせは、観世九皐会(かんぜきゅうこうかい)事務所まで。電話📞03-3268-7311

土蜘蛛1

image

本日は京丹後の久美浜というところで学校公演をしてきました。
今シリーズの九皐会の文化庁主催の学校公演の演目は土蜘蛛なので、蜘蛛の巣を投げる機会が多いです。
学校により舞台の大きさが変わるので、毎回ワキ方と相談しながら勤めています。
本日のワキは、一昨日誓願寺でお相手いただいた森さん。後ろの小鼓は関西でご活躍の久田さん。

今日は喜之師匠が重後見という引き締まる番組でした。
十代の頃、師匠の鮮やかな土蜘蛛のシテに憧れてワクワクした私なので、私の土蜘蛛の原点は師匠の舞台なのです。

闘いながら蜘蛛の巣を次々に投げると、千筋の糸が四天王に降り注ぎ、それが芝居だということを忘れるような迫力がありました。こんな能もあるんだ!と興奮したことを覚えています。

あの時の私のように、子供たちがワクワクと感じてくれたらいいなと願っています。


*11月5日の矢来能楽堂 松風公演。
チケットあります。
チケットのお問い合わせは、矢来能楽堂 観世九皐会事務所に。03-3268-7311



須磨の浦 松風村雨行平の愛した海 松風公演 公演前記1

image
昨日の誓願寺の舞台の反省は反省として、一夜明ければ心はもう来月頭にあります松風公演であります。

神戸須磨には何度か史跡巡りで訪れているのですが、プログラムに使うかな?と探してみると写真があまりないので、目が覚めて支度して新幹線に飛び乗りました。
連休最終日の新幹線は、社内通路に人がびっしり立つ混雑。座れてよかった。

新神戸から乗り継いで須磨駅へ、
以前、同門の充君と来た時と駅の様子が違うような。。
駅の前が砂浜!
なんかおしゃれ。
しかも今日は真夏日でビキニの女の子が浜で日焼けしてる。

おおー!あれが現代版の松風に違いない(笑)
日焼けした裸の行平もおじゃる。

この辺りは、ご存知の通り、前は海、後ろは山。
行平の頃は人気もなく、風光明媚とはいえ、都から見ればさぞ鄙びたところだったのでしょう。
雅な都の姫たちがいるわけでもなく、楽しみといえばキャンプファイヤーの汐焼きくらいだったのかも。

そんな時に、村娘の海女の姉妹との出会いはどんなにか心癒された事でしょう。

土地の伝承では、娘たちの名は もしほ こふじ だそうで、折からの浜の松風と村雨に因んで行平が命名したという。


タクシーの運転手さんが、長年タクシーやってるけど松風村雨が人の名前とは知らなんだ!お墓まであるとは!と驚いていました。

ひとくさり伝承を教えると、あんた詳しいね!と褒めらてしまいました(笑)

途中、義経の腰掛の松なんてのも近くにあったりして楽しかった。

この辺りには古い多井畑厄除八幡さんがあり、義経が立ち寄ったそうな。

この神社の由緒は770年ですから、当然、行平や松風村雨もお参りしていてもおかしくないだろうというわけで、ここにもお参り。

もはやフィクションかノンフィクションかは、わからなくなっているのですが、伝承というのはそうしたもので、これが史実か?なんて野暮なことは必要ないのであります。


近くには松風町 村雨行平町 稲葉町 衣掛町という地名があり、今も伝承が伝わっているのが嬉しかったです。

次の仕事があり、月が出るまで待てなかったのがいささか心残りの静かな須磨の浜辺でした。



御礼 九皐会 誓願寺

image

image

image

本日は九皐会ご来場ありがとうございました。
終わってみれば誓願寺は1時間55分程もかかり、超大曲でした。

とても良い曲で、長さは感じさせないんですが、時計を見ると長いんですよね(笑)

長い分だけ、自分としては反省箇所もあり、稽古通りには行かない本番ならではのところをどれだけ処理できるかが、毎度ながらの課題と思う次第です。

来月5日の松風も90分を超える舞台なので、今回の経験を生かせればと思います。

松風の方が上演時間は、10分以上短いと思いますが、セリフや謡は倍くらいはあるので、どれだけ本番の緊張の中で恋慕の情を謡い込められるかが焦点かなと思います。


何はともあれ、本日の舞台に話を戻すと
ビジュアルとしては、今日はほぼ予定通りイメージ通りかと思います。

明るいイメージの前後になればと思っておりましたので、面、装束の取り合わせは意図を反映してくれたように思います。

今日の後シテの天冠は、以前作っていただいたもので、極彩色の彩色が本日の舞台に華を添えてくれました。河村さんに感謝です。

来月の松風まで、舞台は山のように続きますが、とにかく精進あるのみです。少しでも良い状態で舞台に出せるようにしたいと思います。どうぞ是非見に来てくださいませ。宜しくお願い致します。


ともかくも本日はありがとうございました。

関係者の皆様も長い舞台をありがとうございました。

なお、11月5日の松風のチケットは、観世九皐会まで。03-3268-7311まで、お問い合わせ下さい。宜しくお願い致します。

誓願寺 せいがんじ

申し合わせも終わりました。
とてもスッキリといい曲です。
ですが、それなりに時間が経過しているという不思議な曲です。


今回の後半は、白の舞衣にさせていただく事になりました。
面は、迷いましたが、私の印象では明るいイメージなので、あまり重苦しくない面を師匠と相談して選びました。

出で立ちは天冠をつけるせいか羽衣の装束に印象が近いかな。

曲目は、寺の名前そのままのタイトルで、当然宗教色が強いのですが、決して重苦しくなく、神々し荘厳な光の世界を描こうとした作者の意図を感じます。

魂の救済。

歌舞の菩薩。

すなわち歌や舞、芸能を通じて人々に喜びと救いをもたらす菩薩として後の場面で登場する和泉式部。

後半は曲舞、序の舞、切の舞と舞づくしです。
太鼓の演奏も入り、華やかな後段になると思います。

見る人が心地よく終われればなと思っています。



チケットの問い合わせは、矢来能楽堂03-3268-7311まで。



女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人

書写山500

上は書写山園教寺。

能 誓願寺の公演も今週八日に迫りました。
誓願寺でいただいた和泉式部についての事を読んでみると、以前史跡巡りで巡ったところばかり。
ご縁がありました。

和泉式部は娘さんの小式部内侍を亡くし、救いを求めて書写山(姫路)に性空上人を訪ねます。
そこで、都の八幡山岩清水八幡宮の大菩薩に祈るべしと道を示されます。
image
岩清水八幡宮は、女郎花公演の時に伺った神社ですね。

和泉式部は、岩清水八幡宮に行き祈っていると、今度は老僧が現れ、誓願寺に行って祈るべしと告げられます。

image

教えに従い、さらに京都に帰り誓願寺を訪ねます。

そして、誓願寺で48日籠って念仏を唱えたところ、夢に老尼が現れ女人成仏疑いなしの告を授かります。
和泉式部は尼となり、庵を結びます。
これが誠心院。

誓願寺も誠心院も移築されて今のところに来たと思いますが、ともかくも古いいわれはそういう事のようです。
image


かくして和泉式部はついに極楽往生を遂げたのでした。

さて、能の話は、この後のお話。

やがて二百年あまり時が過ぎ、能 誓願寺のワキ、一遍上人が伊予国道後温泉にある宝厳寺に生まれます。
ここも以前行きました。
重要文化財だった上人像も見せていただきました。
(訪れた一年後に本堂が消失して驚きましたが、その後再建されております。写真はかつて訪れた時の宝巌寺。)

IMG_1778

IMG_1765

IMG_1762

宝厳寺(ほうごんじ)は愛媛県松山市道後湯月町にある時宗の寺で、時宗の開祖一遍上人の生誕地です。

10歳で出家し、その後、紆余曲折あって三十五歳くらいの頃から遊行しながら、南無阿弥陀仏 六十万人決定往生の札を配って布教を始めました。

でもって、ここからようやく能の場面。

京都誓願寺でお札を配って布教をしていると、遥か250年の時空を超えて和泉式部の霊が現れます。

和泉式部の尋ねに応じて、この札の意味を一遍が語り、60万人って書いてあるけど、人数は関係ないよ、とにかく南無阿弥陀仏と唱えればみんな救われるよと説明します。

やがて、上人にこの寺の額を、誓願寺から南無阿弥陀仏と書き換えるように告げ、自らの正体を明かして消え失せます。

でもって、後半は、和泉式部が菩薩達と現れる(能では式部一人だけ登場)という荘厳な展開なわけです。

これ現代のCG技術なら、けっこうリアルに映像化出来そうですが、能は想像の芸術なわけで、皆様の頭の中で、後半の極楽世界を想像していただきたいわけです。

現代からすると、とてもゆったりとしたリズムの音楽であり舞の動きであり、どこかお経や声明に通じる感じがしますね。心緩やかにご覧いただきたいと思います。

あとは、皆様の想像を邪魔しないような舞台を作れたらと思います。

ということで、よろしくお願いいたします。
image


image


チケットのお問い合わせは、東京神楽坂 矢来能楽堂事務所へ📞03‐3268‐7311

なんか呼ばれたような気がしました。

image

image


いささか忙しい五日間でした。東から西へ駆け回りました。
赤いマークが仕事でお邪魔した所。
結構行きましたね。

こう移動が多いとほっといても旅慣れます。

公演やら学校公演の為のレクチャーだったわけですが、いく先々で偶然にも能にゆかりの場所や人にばったり出会ったりして、まるで導かれているような毎日でした。

まあ西の方は目をつぶっても当るほど謡曲史跡が多いからなんですが、タイミングがね。奇妙にどんぴしゃり。
今回はタイトなスケジュールで、史跡訪問予定外だったので嬉しい偶然でした。

京都では、宿のそばに誓願寺、誠心院。
駅のそばには融ゆかりの渉成園。
車を拾おうと歩いていたらご縁のある数珠屋さんにパッと行きあったりして。

越前福井では、帰り道に蝉丸の墓石や花筐に登場する継体天皇を祀る味真野神社があったりして。

先々で出会いが続きました。

不思議。


それもこれも大事に守ってくださる方がいて下さるからこその事のわけで、有難い事でした。

謡曲史跡保存会の看板にも出会えて嬉しかった。



さて出張は一区切り。
来週は能の誓願寺。
頑張らなくては。


誓願寺

image

image

奥川師の俊寛の後、そのまま東京駅から翌日の仕事の為、豊岡に5時間半かけて移動し、翌日ひと仕事して、それから京都に廻りました。

来月10月8日に神楽坂矢来能楽堂で行なわれる九皐会の定期公演で、私が勤めます誓願寺の、そのお寺さんが宿の近くにあるとあるというので朝方参りました。
また、誓願寺のシテである和泉式部ゆかりの石塔と二十五菩薩の御坐す誠心院もすぐ側にあり、合わせて参りました。

能の中で、
「わらわが住処はあの石塔にて候」と謡う所ですね。

商店街の中にお寺さんがある。
いや、後から商店街が出来たんですが、なんとも不思議な感じ。
さすが京都。

誓願寺さんの阿弥陀さんは、焼失した後に岩清水さんから来たとのことですが、思いの他大きい大仏さんでご立派。
きっと皆んなを救ってくださるだろうなあと思いました。

今回、史跡巡りは予定してなかったので、たまたまだったわけですが、なんか、ちゃんとおやんなさいよ呼ばれたような気がしまして、有難い仏縁に手を合わせた次第でした。

誓願寺は長い曲なんですが、とても美しい曲なんですね。

特に後シテの菩薩降臨の場面の謡が秀逸で有名です。

女人でありながら極楽浄土を願った和泉式部が、南無阿弥陀仏と唱え続け、やがて極楽往生します。
その後260年あまり過ぎたのが、誓願寺の物語。
一遍上人は、南無阿弥陀仏六十万人決定の札を配って遊行した。

その一遍上人の前に現れたのは、なんと和泉式部でした。

誓願寺の額を、南無阿弥陀仏と書き換えるように言います。

やがて上人がそのように書き換えると、
和泉式部は歌舞の菩薩として、聖なる菩薩様達と来臨し舞を舞い、上人は驚いて礼拝するのでした。

その菩薩様達が、今回訪れた誠心院の石塔の後ろにずらりと石塔として御坐しましたわけですね。合掌。


100分を超える舞台になると思いますが、よろしければ是非お越しください。









パピヨン

image

今日は奥川師の公演で俊寛があり、私は康頼役でした。

俊寛をやると思い出すのが、映画パピヨン。
若い人は知らないだろうな。
ステーブマックィーン主演で、絶海の孤島に流刑になった男の話。
この男、最後の最後は島から抜け出せたと記憶しますが、その自由を求める執念が凄かった。
来る日も来る日も海を眺めて自由を渇望する。
その姿がマックィーンと俊寛が、不思議と私の中では重なります。

稽古してると洋画の海が見えてしまって、なんか違うねえと。


今回の奥川師の会は、30年前に矢来能楽堂で住み込み修行し同じ釜の食った後輩の私と鈴木師を康頼、成経に配役したのは、きっと奥川師の遊び心かと思いますが、最後は私らだけ船に乗って都に行き、先輩は島に置き去りにするのでした(笑)



夏のミューズの後、学校公演もあったりして、もう18本位やってますと、気がつけば秋という感じです。
うまく行ったり行かなかったり、日々思い悩んでおりますが、お役の方は、これでいよいよ誓願寺、そして間を少し挟んで松風と大役が続きます。

とにかく一生懸命させていただきますので
どうぞ応援よろしくお願い致します。
twitter
ギャラリー
  • 土蜘蛛 2  文化庁巡回公演
  • 土蜘蛛1
  • 須磨の浦 松風村雨行平の愛した海 松風公演 公演前記1
  • 御礼 九皐会 誓願寺
  • 御礼 九皐会 誓願寺
  • 御礼 九皐会 誓願寺
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • 女人成仏 能 誓願寺 和泉式部と一遍上人
  • なんか呼ばれたような気がしました。
記事検索
月別アーカイブ
livedoor プロフィール
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ