能楽夜ばなし

能楽師遠藤喜久の日常と能のお話

春到来

週末は、静岡県沼津でロウソク能公演、東京神楽坂で九皐会の定期公演、本日は神奈川県横浜市で鎌倉能舞台公演と三日続きました。
土蜘蛛、源氏供養、西行桜、経正、小袖曽我と並び、全曲、地謡と後見に入りました。
どの曲にも花があり見どころが様々あります。
喜之師匠の西行桜の花の精が現れると、ああ、春が来たなあと季節の到来を感じました。

今日の横浜能楽堂の楽屋口では、桜の花びらが舞っていて、超寒がりの私は暖かな風にちょっと嬉しくなりましたね。

そろそろダウンジャケットとおさらばです。



御礼 花筐

昨日は雨の中、若竹能にご来場賜りまして誠に有難うございました。
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私がシテを勤めました花筐も無事に終わりました。
そんなに長い時間の曲ではないのですが、各段各段の積み重ねで、中身の濃い大曲でした。

昨日は、終演後社中のお弟子様方が一席設けて下さいまして三十人余りの大宴会となりました。
そこで花筐に因んで可愛らしいお花をいただきました。あまり似合わないけど(笑)一応アップしておきます。
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誠にありがとうございました。

昨日は鞍馬天狗の花見稚児役の子達がいましたので、楽屋もお雛様のような可愛い子供達で華やぎました。今の子供達って、本当にお行儀が良くて賢いので、実にスムーズに装束を着て舞台に出て行きました。
いやー本当に可愛いくて賢い。
皆立派に勤めて春の華やぎをもたらしてくれました。

花筐の子方を勤めてくれた彼は、もう今年中学生との事。小さな時から子方をしていた彼が、凛々しい少年になって立派な帝を勤めてくれました。こちらも感謝でした。

若竹能は、次回は夏。7月28日一時開演矢来能楽堂です。朝長と井筒という、大曲二番です。
中所師と佐久間師が勤めます。
私は朝長の地謡と井筒の重後見の二番を仰せつかっております。
大変内容の濃い1日になりそうですね。心して準備したいと思います。
すでにお席が埋まってきているようなので、どうぞお早めに九皐会事務所にお申し込み下さい。
宜しくお願い致します。

この度は誠にありがとうございました。

追記
渡辺カメラマンからも写真いただいてので一枚アップしますね。
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花筐 2

いよいよ花筐も申し合わせ(リハーサル)も済みまして面、装束なども整いました。

先日の味真野の記述に追記して、もう一言、この曲に登場する継体天皇について触れておこうと思います。
皆様の方がよくご存知かと思いますが、
この曲に登場する継体天皇は、今だに謎とされる部分が多く、なにせ千五百年も前の大王の話なので、文献も少なく古事記日本書紀の記述も、どこまでが史実なのか、作られた歴史なのかがよくわからない謎の大王と言われる方です。

武烈天皇が突然逝去し、その武烈天皇に後継者がいなかった為に担ぎ出されたということになっていますが、何故、このひとだったのか。

応神天皇から既に五代も下った孫であり、都から離れた越前にいた皇子が歴史の表舞台になぜ躍り出ることが出来たのか。そもそもそれは本当なのか。古代歴史ミステリーの一つです。

日本書紀によれば武烈帝の後継者に引っ張られた時は、既に57歳で、先王のお姉さんを皇后にして王位を継ぎます。
皇后のほか8人の妃がいたとされます。

これらの妃は皆、機内、北陸に広がる王家に繋がる一族の娘達でした。

それらの勢力の後ろ盾があって都に進出したと考えられています。
また、継体天皇が曲中にも出てくる玉穂の都に入るのに二十年かかったとされ、空白の二十年があります。すぐ大和に入らなかったのは、それだけ大和に抵抗勢力があったからなのか、そもそもそれは本当なのか。多くの謎が残されています。

また年齢や記述が何処まで本当であったか、後に都合よく史実を書き換えられたとも言われています。
そうした古代王家をめぐる勢力争いと、様々な思惑の中で生まれた大王なのですね。

(能では、子方が貴人の役を勤めますので、今回はとても若い継体天皇です。)

味真野の資料館に入った時に花筐の照日の前のモデルに関して、息長真手王の娘、麻績娘子が味真野の地に関わりがあり、この姫ではないかと掲示には書いてありました。

後に伊勢斎宮となる皇女を生んでいます。
息長一族は、神功皇后を輩出した古い一族です。

しかし、観世流には安閑留という小書きがありまして、これがもともとの古い形であったらしいと研究者が書かれてますね。

そうなると安閑天皇を産んだ尾張氏の姫がモデルかというと、継体即位前には既に子供がいたようですし、玉穂の都に行くのに20年もかかったの?というと、どうも作品と色々辻褄合わないね。というわけで、やはりこの照日の前というキャラクターは、創作された女性であり、この作品はあくまで、古い伝承にヒントを得て脚色した創作的な作品だと言われているわけです。

また、何故そうした作品を世阿弥が作ったかというと、時の権力者の交代劇があり、それに合わせたからかでないか?など研究者の方が様々な見解を示しています。

いくつか改作の跡が見られるところもあり、その分、地謡部分も変化に富み楽曲として難易度の高い演目とされております。

能の花筐という曲は、だだのラブロンスではないと思ってみると、また違った見方ができるかも知れませんが、王位をめぐる争いの中に突然巻き込まれた皇子を追って行く恋人という見方も私は好きです。

観阿弥が作ったものを後に導入したと言われる李夫人の曲舞の下りは、切々と男女の愛情の深さを訴えかけますし、古代の歴史伝承を脚色して世阿弥が作ったといわれる作品なので、思い思いに楽しんで観ていただけたらと思います。

長い一言になりました。
では、どうぞよろしくお願い致します。

当日はひな祭りですね。
舞台上で、雛人形の能楽五人囃子の元となるお囃子や地謡、またお雛様達をお楽しみいただけたらと思います。

玉の輿  恋のパワースポット 味真野

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三月三日の九皐会若竹能が近づきました。
詳細はこちら→九皐会home page

昨年立ち寄った福井県の味真野神社と公園の写真が出てきたのでUPします。私が行った時は、神社は改修工事中でした。

主人公は、皇子様の恋人、照日の前。
皇子は、この地で男大迹皇子として暮らしていて、ある日突然、次期天皇の後継指名されて迎えに連れられてこの地を離れて継体天皇になる。

この地で皇子の恋人だった照日の前という女は、突然の恋人との別れを悲しむが、やがて花筐と恋文だけを残して去った皇子を追って都に上る。
そして色々あって(地謡の聴かせどころ、シテの舞どころがドーンとあって))
やがて玉穂の都で再会した二人は、再び結ばれるというハッピーエンドの物語。

押しかけ女房的玉の輿シンデレラストーリーといえなくもない話で、味真野の地元の公園には二人の仲睦まじい銅像があり、花筐の照日の前の玉の輿に引っ掛けて、公園はハートマークの花畑があちこちにあって恋人達の撮影スポットになっていた。
恋のパワースポットだそうだ。
以前行った時は長閑な公園だったので、その変貌ぶりに驚いた。

照日の前は、モデルはいるのだろうけど、能の作り出した特異なキャラクターで、その性格付けも「狂女」というカテゴリーに入る。
現代的な狂っているという感覚だと違和感があり、一途な女とか、思いつめた女といった方がしっくりくると思う。
しかも彼女は、歌って舞える芸達者な女なのだ。

上村松園画伯の描いた花筐の女は、かなり気が触れた感じなのだけど、私の思っている照日の前とは、少し違う。

狂女というキャラクターは、ほかの女性主人公の演目よりも感情が露わで、起伏も激しい。
三番目の幽玄な曲とは違う構成と演出で、変化があるので面白い。
しかも、この曲の照日の前は、やがて妃になるような身分の高さと位があり、ほかの狂女物とは一味違う。

と、あまりハードルはあげなくないのだけど、演じる方としてもとても難しい演目です。

皆様にとって、10人10通りに映る照日の前になれば良いなと思います。


そんなわけで、今回の若竹能は、狂女物というジャンルながらシンデレラストーリーの花筐と、鞍馬山の天狗に出会って歴史の表舞台に躍り出た源義経という、縁起のいい能が二番です。(鞍馬天狗のシテは、天狗です)
あと、今回は、子方の子供達が大活躍します。
二曲で7名出演!楽しみですね。

宜しければ是非ご覧下さい。
チケットなどは九皐会に直接お問い合わせくださいませ。

では、どうぞ宜しくお願い致します。



ぼちぼち今年もシーズンスタート。エンジン温ったまってきました。

今週末は、水戯庵、中野ゼロホール、鎌倉能舞台定期能と三連戦で、葛城、絵馬、花月、弓八幡と4公演でした。

今年も早くもシーズンに入って来たなという気がします。
三月三日は、九皐会若竹能で、花筐を勤めます。
大好きな上村松園画伯の「花がたみ」という女の絵のモデルとなった能の作品です。
画伯は、狂乱を研究する為、病院に行ったり、何枚も能面を模写したりしたそうですが、それがこの絵の魅力を裏打ちしていますね。

私も正月の翁のお爺さんから、若い女へと気持ちを切り替えて臨みたいと思います。
この公演は、若手、中堅の勉強会の延長としての研究公演です。
同時上演で坂君シテの鞍馬天狗もあり、チケットは既に正面完売との事。
良い席はどうぞお早めに、矢来能楽堂 観世九皐会事務所に直接お申し込み下さいませ。
宜しくお願い致します。



新年会

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本日は、喜久謡会社中の新年会を神楽坂矢来能楽堂でさせていただきました。

社中のの謡い初め、舞い始め。
皆様ご熱演で幸先の良い一年となりました。
私も社中の方々に負けないように稽古に励みたいと思います。

お天気も良く、とても賑やかで楽しい一日となりました。
感謝。

白梅 咲く

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暮れに手に入れた白梅の盆栽が一足早く花盛り。

正月準備で賑わう花屋の片隅で小さな花がひっそりと1つ咲いていた。

しばらく様子を見ていたが、梅ねえ。。と呟いて皆素通りした。

さてどうしたものかと眺めていたら

ふと、この木と目が合った気がした。

然らばと持ち帰り水と薬をあげた。


果たして咲くなかなと思っていたが、この一週間、1つまた1つと花が咲いて新春の稽古場に華やぎをもたらしてくれた。

命の芽吹きって凄いものです。お見事でした。


梅というと、和泉式部の軒端の梅、梶原景季の箙の梅、老松の紅梅や胡蝶の梅がすぐに頭に浮かぶが、白梅となるとやはり軒端の梅か、箙の梅だろうか。

今宵は枕元に置いて、木の下の仮寝の夢と洒落こんでみるかな。

はてさてどんな夢が見えるのか。

楽しみ。




御礼 九皐会 初会 翁 

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昨日は、観世九皐会一月新春の定例公演にご来場賜りまして誠に有難うございました。

お陰様で、翁の大役を無事に勤めさせていただきました。誠にありがとうございました。

能の世界では大変に大事にしている演目で、遡れば室町時代の能楽大成の遥か以前より伝承された神事の演曲です。
観世流では重習奥伝という最高位に位置する演目となっており、まさにその名の通り秘事口伝伝承で伝えられてきた特別な演目。
本来、一門の当主、長老が演じる別格の演目なのですが、観世九皐会矢来能楽堂の定例公演では、矢来能楽堂で観世喜之師匠の元に住込み内弟子修業してきた者が、生涯一度の大役として翁の披き(初演)のお役目をいただき勤めを果たすのが今までの慣例となって続いて来ておりました。
私の場合は、翁の千歳の初役を師匠にいただいてから、実に30年目。平成と共に過ごした舞台人生の節目となる今年でした。

そうしたことで九皐会の一年の最初を飾る神聖な舞台を仰せつかり、まさに一世一代生涯一度の覚悟で臨んだ舞台でした。

年明けの新春の定期公演という事で、半年間リザーブ席のお客様も多く、チケットは昨年発売初日に完売しました。
あまり宣伝する間も無く席が埋まり、また曲が曲だけにブログなどで多くを語ることも出来ず終いでしたが、ご覧いただきました皆様、応援してくださった皆様に、厚く厚く御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

兄が一昨年に披いた時に心の準備はしておりましたが、昨年秋頃より本格的に師匠に稽古をつけていただき、お囃子方と下稽古をさせていただいたりしながら準備を進めて、暮れ頃から色々な方にお声がけいただき、またお気遣いいただいたり、ご指導を賜ったりしながら、徐々に皆様の祈りが私に集まってくるのを凄く感じておりました。

他の演目では感じたことのない、私事ではない曲の重みというのでしょうか。
物語の一役を演じるということとは違う曲の大きさと、事の重大さをヒシヒシと感じておりました。
この曲は、本人私のものにあらず公のものであるという思いを新たにしました。

とにかくも皆様の思いや祈りを、私の失態で無駄にせぬようにと思いながら稽古を重ねておりました。

前日、大粒の雪が舞い落ちて来た時には、私の慣れぬ潔斎に雪でも降ったかと、ひやりとしましたが当日は皆様の祈りが天に通じたか如く天気も収まり降水確率0%には驚きました。
滞りなく無事に済みましたのは、一重に皆様のおかげ、天の加護と、心より感謝申し上げる次第です。

ともかくも無事に済み安堵いたしました。
まさに心は万歳楽です。

昨日のシテ方の布陣は、ずっと稽古をつけてくださった師匠観世喜之先生が主後見にお座りになり、兄が副後見で面倒をみてくれまして、大先輩長山禮三郎さんが地頭、喜正若師匠が副地頭となり、楽屋内では、諸先輩にご指導いただき、後輩方にも細々とお気遣いいただき本当心強く、一門の皆様に大変お世話になりました。これもまた大変有難いことでした。
そして翁に集中出来るように年明けから稽古を控えくれた私の社中の方々にも感謝したいと思います。

ブログ上ではありますが、お客様関係者の皆様への感謝を書き記しておきたいと思います。
誠にありがとうございました。


早速に駒井カメラマンから映像が来ましたので、まずはワンカットご披露させていただきます。

追伸
渡辺カメラマンの写真もトリミングして載せますね。
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ありがとうございました。










謹賀新年

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あけましておめでとうございます。
元日の東京は快晴で、気持ちの良い年明けです。
今年も矢来能楽堂から一年をスタートしました。
新年初会にて翁を勤めますので、暫くこのブログもお休みしますが、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様にとって良き一年になりますように。

ゆく年くる年

ようやく社中の最期の稽古も終わり、これから遅ればせながら新年を迎える準備です。
振り返ると今年は、社中の二十周年大会が国立能楽堂でありましたし、請負の舞台も例年になく多く、なかなか休みが取れなかったので、体調管理にとても気を遣った一年でした。

しかしながらお陰様で今年は、大きな怪我や病気もなく、不思議と風邪もひかずに一年を過ごせたのが何よりでした。

今年もこのブログをご覧いただきました皆様、お付き合い下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。

新春一月の九皐会定期公演では、翁の太夫を仰せつかり、また三月三日には、九皐会若竹能にて花筐を勤めさせていただきます。
大役が続きますので、まだその先の予定まで考えが及びませんが、目の前の舞台をしっかり勤めて参りたいと思います。
明年もどうぞよろしくお願い致します。
本年も誠にありがとうございました。

皆様どうぞ良いお年を!

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